想定されるトラブル
相続人が複数いる場合で分割がしずらい財産がある場合。
相続財産が少なくてもトラブルになる可能性が非常に高いです。
一般家庭で起こる可能性が高いトラブルです。
物語形式でみてみましょう。
母A子さん 長男Bくん 次男Cくん 長女Dさん
A子さんと長男であるBくんは一緒の家に住んでおりました。CくんとDさんは家をでています。
A子さんは現在Bくんと暮らしている家と土地しか財産を保有しておりません。
先立たれた夫より受け継いだ思い出の詰まった家と土地、本当に大切に思っていました。
ある日、A子さんは病気により亡くなりました。
ずっとA子さんの病気の面倒を見ていた長男のBくんは当然、家と土地を取得するつもりでした。
A子さんも生前、夫より遺された土地、建物をずっと大切にしてほしい。とBくんに伝えていました。
お通夜の夜、CくんとDさんは同じ子供なのに財産が貰えないのは不公平だ!とBくんに伝えました。
BくんはA子さんの遺志を継ぎたい。と伝えましたが聞く耳持ちません。
Bくんは土地・建物をぶっ壊して3等分にするわけにはいかないので、1/3ずつ共有で保有しようと伝えたところ、
CくんとD子さんは「自分たちはこの家には住まないんだから共有で取得しても意味がない。自分の相続分の1/3に見合った現金をよこしてくれ」
家、土地の価格は2,100万円でした。
CくんとDさんは1/3である700万円ずつ、Bくんに請求しました。
合計1,400万円なんて払えるわけがない。母の病気の治療費を払っていたBくんは怒りました。
しかし、Cくんは事業に失敗しお金がないためなんとしてもお金がほしい。Dさんは長女の私立の学費が払えなくなるためお金がほしい。
3人は仲が悪くなり、結局大切にしていた土地・建物を売却することになってしまいました。
千代田区神田の税理士 佐藤修治税務会計事務所
アドバイス
売却をする必要はなかったんですけどね。
分割することが難しい財産しか保有していない場合は、トラブルが起きやすいです。
さて、今回のケースではA子さんとBくんの意見が一致していました。
家を大事にしたいならば遺言書で土地建物をBくんに取得させるようにすべきでしたね。
遺言書でBくんにすべて取得させたとして、仮にCくんとD子さんが遺留分として350万円ずつ、Bくんに請求するのであれば合計700万円。分割すれば払えるかもしれません。
それだけではなく、A子さんはCくんとDさんに自分の気持ちを綴った手紙でも残しておけばよかったのかもしれません。
離れて暮らすCくんとD子さんはBくんがどれだけA子さんのために治療費を払ったかなどは知らないため使ったお金を一覧にし、CくんとDさんに見せ減額交渉でもしましょう。
財産が土地建物のみというのはよくあるケースです。他人事と思わず一度考えてみてください。
千代田区神田の税理士 佐藤修治税務会計事務所