想定されるトラブル
「老後の面倒を見る」という言葉、イメージするのは簡単ですが、実際に介護などを行っている方の負担はすごいものです。
そして必ずしも相続人が老後の面倒を見てくれるとは限りません。
物語形式で見てみましょう。
父Aさん
長男Bくん 長男Bの妻C子さん 次男Dくん 三男Eくん
父Aさんと長男Bくんと長男の妻C子さんは父Aさんの家で3人で暮らしていました。
DくんとEくんはそれぞれ独立して別の場所に暮らしています。
ある日、長男Bくんが不慮の事故で亡くなりました。相続の際には父AさんとC子さんで話し合い、長男Bくんの財産は全てC子さんが取得しました。
その後、父Aさんは、C子さんに家から出ていくように伝えました。
父A「C子さん、あんたはまだ若い。これからいくらでもやり直せる。私の面倒はみなくていいんだよ。」
C子「いいえ、私のお父さんはAさんです。Aさんの家にずっといさせてください。」
身寄りのないC子さんには他に家族はいません。父Aさんのことを本当のお父さんのように思っていました。
そして、父AさんとC子さんは仲良くすごしました。父Aさんに介護が必要になった時もC子さんが介護をして、DくんとEくんは何もしませんでした。
父AさんはC子さんに約束しました。
父A「C子さんは私の娘だ。私がいなくなったら、DくんとEくんで財産を3等分にしなさい。」
父Aさんが病気により亡くなりました。C子さんは毎日病院に行き、そして葬式の手続きもしました。
葬式の日の夜、DくんとEくんから告げられました。
「財産は二人で分けるからあんたは出てってくれよ。介護大変だったんだろうけど、父Aの財産で暮らしていけたんだから、財産をあげる必要はない。お金貰いたいくらいだよ。」
C子さんは驚きました。専門家に相談したところ相続人でないC子さんは財産をもらえなかったのです。
アドバイス
公正証書遺言にて、DくんとEくんの遺留分を侵害しない範囲でC子さんに財産を残すべきでした。
それか、C子さんを「自分の子供と同じ」と考えるのであれば養子にすれば1/3ずつの相続分を主張できましたね。
今回のケースだと、父AさんとC子さんで「財産を1/3あげる」と口約束しています。
証書は残していませんでしたが、口約束も立派な契約です。
しかし、それを裁判等で証明するのは難しいでしょう。後からなら何とでも言えますしね…。
そして、父Aさんは遺言でも手紙でもDくんとEくんにC子さんがどれだけ世話をしてくれて感謝をし財産を残したいことを伝えれば、DくんとEくんも納得がいったでしょう。
DくんとEくんからすれば、毎日介護するというのがどれだけ大変か予想がつかないはずですから。
※注意
当事務所では遺言作成などの業務は基本的には行っておりませんが、必要であれば提携している司法書士や行政書士の先生を紹介することも可能です。
上記のようなトラブルが想定される場合、顧問先であれば無料にて相談を受け付けております。
会社経営と同じですが、うまくいくことだけを考えずにトラブルがあった時のことを想定して事前に対策をとりましょう。
税理士には守秘義務がありますので情報が漏れることはありません。
千代田区神田の税理士事務所 佐藤修治税務会計事務所