貸付か贈与か
○○首相が母から贈与を受けて申告をしていなかったという事件がありましたね。
貸付だと認識していた!とのことですが、貸付と贈与について記載しておきます。
新たに会社を始める時に両親からお金を借りて経営する方が多いので注意が必要です。
父Aから子Bに対して貸付として1,000万円の振り込みがありました。
その1,000万円でBさんは会社を設立しました。
BさんはAさんにいつお金を返すのでしょうか?返さないのでしょうか?何も決まってません…。
こういった場合は贈与になる可能性が高いです。
贈与をした。つまり贈与税が発生します。
1,000万円の贈与であれば
(1,000万円△110万円)×40%△125万円=231万円
231万円の贈与税を払う必要があります。
なぜ、お互い貸付と認識していながらも贈与となる可能性が高いかというと。
イメージしてもらいたいのですが、
例えば赤の他人2人がお金の貸し借りをするときに、借用書って作りませんか?そして利息もとりませんか?いつ返すか決めませんか?
通常のお金の貸し借りをするときは、決まりを作ります。銀行からお金を借り入れるときだってそうです。
回収する要件を決めていなければ回収しなくてもよいとも、とれます。
AさんとBさんは借用書等の書類を作っていないため、通常のお金の貸し借りではなく贈与とされます。
対策
借用書や金銭消費貸借書を作り、利息をとり、返済期日を決め、返済をする、金銭のやりとりは全て証拠を残すために振り込みで行う。そうすれば問題ありません。
利息を支払わないのであれば、通常支払われるべき利息分が贈与の対象となります。
面倒ですよね。でも仕方ないです。
財産を贈与するにはお金がかかります。
贈与しても税務署にばれなければ税金を払わなくて済む、ばれたら貸付だと言いはればよい!
そんなことになってしまえば、ほとんどの方が申告をしなくなり贈与税というものはおかしくなってしまいます。
1,000万円借りたいけれど、返すのが難しい!できれば返したくない!税金も払いたくない!のであれば、相続時精算課税制度を使うというのも一つの方法です。年齢制限等ありますけれど。
手続きに失敗すると使えませんので気を付けましょう。
今回は親族間の金銭の貸し借りについて記載しましたが、社長含め親族と法人との金銭の貸し借りでは取り扱いが異なるので気を付けてください。
千代田区神田の税理士事務所 佐藤修治税務会計事務所