簿価利回りではなく時価利回り その2
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経営において重要なのは現在の価格である時価と、これから資産が生み出すキャッシュフローです。
確かに預金や債券であれば取得価格である簿価は重要です。それは預金や債券は原債務者が破綻しない限り、額面で償還されることが約束されているからに過ぎません。しかし、不動産や株式における取得価格は将来の価格を保証しません。取得価格は過去のもので、将来キャッシュフローには何の影響をも与えません。経営にとって大切なのは過去の価格(取得価格)ではなく、現在の価格(時価)です。したがって、経営効率を判断する利回りも簿価利回りではなく、時価利回りでなければならないのです。
そこで、両者の時価利回り(賃貸料収入÷時価)を比べると、A不動産は2%(1億円÷50億円)、B不動産は20%(1億円÷5億円)です。資金の効率性の優劣は明らかです。Aは時価が高いから資金の効率性が低く、Bは時価が低いからこそ資金を効率的に運用できているのです。
ROA(Return on Assets 総資産利益率)は利益を総資産で割って算出するもので、会社の資産の効率性を示す重要な指標です。会社全体の資産の効率を引き上げるためには、個々の資産の効率性を判断しなければなりません。そのとき使用する分母の資産価格は簿価ではなく時価でなければならないのです。
含み益の大きい資産はそれに応じた高い収益を要求されていることを忘れてはなりません。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立