再挑戦を困難にする社長個人保証 その2
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会社が倒産した場合、個人保証が存在すれば、銀行は引当金を積むにしても、社長の個人財産から回収できる可能性があるわけですから、貸出金を帳簿から落とすことはできません。直接の債務者である会社と保証人である社長個人共に弁済能力がないと認められて初めて帳簿から完全に抹消できます。したがって、社長個人の弁済可能性を追求しなければなりません。債務者である会社から直接回収するならともかく、保証人である個人からの回収は気乗りのする仕事ではありません。銀行はそんなことに時間と労力を取られるより、倒産した会社の貸出金を会社の倒産処理と同時に帳簿から落とし、新規の営業に向かった方がはるかに効率的です。
それでも、銀行が社長個人保証から逃れられないのは、前述した決算書に対する疑念と会社を経営する社長個人に対する不信感があるせいです。逆にいえば、社長が真摯に事業を遂行し、事業の状況を決算書で適正に報告し、それでも倒産してしまったら、銀行側も社長個人の財産を探し出して債権回収に充てたいとは思わないでしょう。
社長個人保証は企業家の再挑戦を著しく困難にします。停滞する日本経済において、企業家精神を持つ人は貴重です。アップルのスティーブ・ジョブズのような優秀な企業家には、失敗をしても何度でも再挑戦できる社会であってほしいと思います。
そのためには銀行側が考え方を変えるだけではなく、企業家の側も会社を公正に運営し、決算書で適正に企業内容を開示することに心がけ、個人保証がなくても借入ができるようにしておかなければなりません。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立