再挑戦を困難にする社長個人保証 その1
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中小企業が銀行から融資を受けるとき、ほとんどの場合、銀行は「社長個人保証」を要求します。社長個人保証は我が国の中小企業融資では、ほぼ常識とされていますが、果たしてそれでいいのでしょうか。
中小企業の決算書は、上場企業のように公認会計士の会計監査を受けているわけではなく、決算書の正確性が制度的に担保されていません。経営者が自分の都合のいいように決算書を作成している危険性を常に内包しています。決算書が会社の真実の姿を表現していないとしたら、そうした会社にカネを貸す銀行は何らかの自衛策を取らざるを得ません。
また、大株主で代表権のある社長であれば、個人財産の蓄財のために会社を恣意的に経営し、債権者(銀行)を意図的に害することも可能です。社長に「会社財産は自分の財産と同じだと考え、全身全霊で経営してくれ」とプレッシャーをかける必要があるのです。また、会社が社長個人の節税組織になっているとすれば、会社と社長個人併せての財産を貸出金の担保とする必要があります。そこで、会社という法人にカネを貸しているにもかかわらず、社長の個人保証を取るという慣習が生まれてきました。
社長個人保証は、万一の場合、個人の生活まで犠牲になるのですから、社長にとっては酷な制度です。では、カネを貸す銀行にとっては望ましい制度なのかというと、必ずしもそうとは言い切れません。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立