ROEとROA その2
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ROEの算定においては、自己資本が小さいほど有利になります。ROE向上のために、自己資本を小さくすれば、株主にとっては望ましくても、会社の安全性は低下しますから、債権者や従業員にとっては決して喜ばしいことではありません。特に雇用の流動性が確保されていない日本においては、従業員は今働いている会社には安定・存続してほしいと願っています。したがって、「会社がすべてのステークホールダー(利害関係者)のもの」とする立場からはROEだけで会社を評価することはできません。
そこで登場するのが利益を総資産で割るROA(Return On Assets総資産利益率)です。ROAは企業が所有する総資産がどれだけ利益に貢献しているかを測る指標です。
ROAは財務戦略を弄することでは操作できません。ROAを上げるためには、本業の収益性を高めなければなりませんし、収益性の低い資産の処分も必要になります。ROAを引き上げるには会社の本当の力が必要とされますから、簡単にはできません。
株式市場においてROEは依然として重要です。しかし、ROE向上のために小手先の財務戦略によるのではなく、すべてのステークホールダーを意識してROAを引き上げ、その結果として株主のためのROEがアップするというのが王道です。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立