ROEとROA その1
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利益指標として何を基準にするかは、時代によって、会社によって、あるいは対象として誰を想定するかによって、変わります。
利益指標として最もポピュラーなのは、利益を売上高で割った売上高利益率です。売上高利益率は非常に明快ですが、大きな欠点があります。それは、業態が違えば売上高のベースが異なり、業種を超えた比較が困難になることです。売上高利益率は同一業種の中で優良会社を探すときにはとても有効な指標ですが、幅広い業種の中で企業を比較するときには有用性を欠きます。
その点、あらゆる業種にわたって共通に使える利益指標に、利益を自己資本で割るROE(Return On Equity自己資本利益率)があります。ROEは株主財産である自己資本に対してどれ位稼げるかを見るのですから、どんな業種においても比較可能です。したがって、株式市場においては非常に重要視される指標であり、ROEの高い会社は文句なく「いい会社」と評価されます。「会社は株主のもの」と割り切れば、ROEは最重要な指標です。
ただ、「いい会社」というとき、誰に対して「いい会社」かということを意識しているかが問題です。ROEは会社全体を見ているわけではなく、株主しか眼中にありません。会社全体の収益性は低くても、借り入れにより自社株買いをして(このことを「レバレッジを効かせて」と言います)、自己資本を圧縮すればROEを上昇させることができます。つまり、ROEは財務戦略だけでどうにでもなるのです。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立