捨てる勇気 その2
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ソニーはハードとして全世界を席巻した携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」を持ち、ソニーミュージックやソニーピクチャーズといった有力な音楽、映画ソフト部門も所有していました。音楽のハード部分とソフト部分を一体開発できる会社としてこれほど有力な経営資源を有する会社は他に見当たりません。では、なぜソニーがiPodのような製品を開発できなかったのでしょうか。
その一つの大きな理由が「共食いを恐れた」からだというのです。ウォークマンのようなハードも、音楽、映画ソフトも、それぞれがトップブランドとして世の中に受け入れられています。ここで、iPodのような画期的製品を発売すれば、iPodは売れるかもしれませんが、間違いなく音楽CDの売り上げは減少します。これまで会社を支えてきた貴重な収益源が失われてしまうから新製品開発に踏み切れなかった、というのです。
ジョブズのモットーは「共食いを恐れるな」です。既存の自社製品の売り上げの減少を恐れて、新製品の開発を控えても、その新製品は必ず他社が開発する。ジョブズはこう言います。
「自分で自分を食わなければ、誰かに食われるだけだからね」
強力な長所を持つ会社ほど時代の流れに取り残されることが往々にしてあります。時代の変化によってはかつての強みが弱みに変わることがあるのです。いつまでも過去の強みに安住していてはいけません。時代の変化を素早く読み取り、不要の強みを捨て去る勇気が必要なことをジョブズは教えてくれています。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立