親族外承継の後継者に求める能力 その2
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では、実際に親族外による事業承継を行ったA社の取組みについてみていきましょう。
A社は、業務用洗剤・石鹸の製造とクリーニング用諸材料の卸売業という2つの事業を主力とする企業です。
A社の現社長は、取引先金融機関の勤務を経て当初は出向の形でA社に入社。入社後は「従業員が意見を出しやすい開かれた組織」をつくることを目指した取組みを始めました。そのためには外部から来た自分を理解してもらう必要があると考え、従業員や取引先等とのコミュニケーションにおいて「逃げない、隠さない、嘘をつかない」ことを心掛けました。
こうした取組みはこれまでのオーナー一族のトップダウン型の組織運営とは異なったものでしたが、次第に従業員にその考え方が浸透し、人心を掌握していきました。その後先代経営者が体調を崩したことを契機に、先代経営者から現社長に対し社長就任の要請があり、入社から3年経過後にA社の社長に就任しました。
社長就任後はカリスマ創業者ではなく創業者一族でもない自分が経営するには、プロパーの責任者クラスの人材を役員に昇格させて、一体となって経営する必要があると考え、役員の数を増やしました。また、経営会議においては将来のビジョンを伝えるとともに、開かれた組織づくりを意識しつつ幅広く権限委譲を行うことで、会社経営を担う中核的な人材の育成を図っていきました。
このように親族外承継の後継者においては、トップダウンではなく、個々の従業員の力を引き出し、組織的に企業を運営していく能力がより一層求められるのです。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立