公的年金の改革と経済への影響 その2
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GPIFの改革は一見、経済にはあまり関係ないようにもみえます。ところが、実際は、株価に大きな影響を与えます。改革により、GPIFが株式運用の割合を増やせば、それだけ株式市場に多くのお金が流れ込み、株価を押し上げる効果があります。国内株式への組み入れ比率を1%高めるだけで、株式市場には1兆円超の買い余力が発生するという推計も出ています。
もちろん一気に買うわけではなく、徐々に買っていくので、短期間で日経平均株価が何倍にもなるわけではありません。ただ、日銀の量的追加緩和などの影響などもあり、日経平均株価は、10月の半ばではおよそ1万5,000円でしたが、11月21日は1万7,357円と2,000円以上も高くなっています。
その一方で、今回の改革に対して心配の声もあがっています。第一は、株式の比率を高めることが正しいのかという点です。株価が上がっている今はよいのですが、今後、株価が下がったときに、しっかりと損を回避する(株をタイミングよく売る)ことができるのか、不安視する専門家もいます。
加え、現在の年金制度は女性の就労が現在よりも大幅に増えることを前提としています。本当に、女性の就労増加を実現できるのか、という心配も出ています。こうした前提が崩れたときに、運用に行き詰まりが出ないか危惧されます。
結局は、冒頭で触れた通り、女性や高齢者などを含めて労働者の数を確実に増やしていくこと、さらには、少子高齢化の進展に合わせて、年金の支給額を変えていくような、制度の見直しなどもあわせて改革が進められるかどうか、ここに改革の成否があります。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立