粉飾決算は割に合わない その1
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粉飾決算にも様々なバリエーションがあります。減価償却計算における耐用年数の長期化や不良債権に対する貸倒引当金の過少計上でも、利益を捻出することができます。これも意図的に行えば立派な粉飾です。ただ、こうした手法は会計上の見積もりの操作であり、「見解の相違」と言えば言えないこともなく、粉飾の程度としては軽度です。もっと悪質になると、売上高を水増し、借入金を過少に計上するようなこともします。負債を収益に付け替えるのですから、利益も自己資本も過大に計上できます。
粉飾は帳簿上の数字の付け替えだけでは済みません。たとえ粉飾でも、利益が出ていれば納税しなければなりませんし、場合によっては配当をしているかもしれません。粉飾にも“経費”がかかるのです。それは最終的に必ず資金繰りの破綻につながります。
粉飾を行った経営者や担当者は、当初は粉飾がこんなに大規模に長期化するものとは考えなかったに違いありません。今期は業績が悪いからやむをえないが、来期業績が戻れば正当なものに戻そうと考えていたはずです。しかし、そう簡単に業績は回復しません。かといって、いまさら粉飾を白状することもできません。業績の悪化が継続すれば、決算を繕うために粉飾のスケールは徐々に大きくなっていきます。
粉飾は麻薬に似ています。一旦手を染めると、途中でやめることはできず、破綻するまで止まりません。(つづく)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立