インフレ時とデフレ時の資産選択 その2
事務所だよりです。
経営者のお役にたてるような記事を配信しています。
少しでも経営にお役にたてていただければと思います。
バブル崩壊後、長くデフレが続きました。デフレ時は、資産は持っているだけでは価値を生みません。売却価額は下がるのですから、単に保有しているだけでは重荷が増えていきます。どう利用しているかが重要です。まったく利用していない遊休資産は将来キャッシュフローをまったく生まないのですから、たとえ二束三文でもキャッシュになるなら処分すべきです。
事業に利用している資産も、資産が生み出す将来キャッシュフローの現在価値を常に把握しておかなければなりません。もし、他の人が、現在の自分が利用して獲得できるキャッシュフローの現在価値以上の値段で資産を買いたいというなら、売るのが合理的です。それは一企業としての損得だけではなく、社会にとっても望ましいことです。なぜなら、資産を買おうとする人が高値を付けるのは、その人がその資産を取得して活用すれば、もっと多くのキャッシュフローを生み出せるという自信があるからです。それは現在の所有者より、その資産を有効に活用できるということであり、社会全体にとっても有用だからです。
アベノミクスにより、かつてのデフレからインフレに転換しようとしています。しかし、そのインフレ率はかつての高度成長時代のような二桁といったものではなく、1%〜2%程度なマイルドなインフレです。したがって、インフレだからといって、売れば儲かるからといった正味売却価額に期待した安易な考えで資産を取得するのは危険です。利用することで獲得できるキャッシュフロー、つまり使用価値で資産を考えるという堅実な考えを捨てるべきではありません。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立