創業人材誘致による地域振興について
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地域振興における重要な課題として、定住促進による人口増加があげられます。しかし定住を促進するには、雇用の場の確保が求められますので、定住対策と産業振興による雇用の創出とは表裏一体の関係にあります。
これまでは、行政が公共事業や補助金などによって工業団地などの産業基盤を整備し、地域外から企業を誘致する外来型開発によって雇用を創出する方法が多く取られてきました。しかしグローバル化の進展に伴い企業の海外生産シフトが加速し、地方財政が逼迫する中では、企業誘致を行うのも容易ではありません。
そこで、地域に定住して新たな産業を起こしてもらえるような、創業人材を誘致することで定住対策と産業振興を融合させるという取組が行われています。典型的な例としては、創業計画を地域内外より広く募集して、採択された人に対して定住によるプランの実現化を行うことを要件としつつ、そのための活動資金を行政が支援するというものです。とくに創業人材としては、若年世代のU・Iターン人材への期待が集まっています。
こうした創業人材誘致の最大の効果は、創業計画の実現そのものがもたらす経済効果よりも、魅力ある人がU・Iターン者としてその地域に定住することで、地域に「人が人を呼ぶ好循環のサイクル」を創りだしていくことにあります。
では、創業人材を地域に誘致するためには、具体的にどのようなことに留意すればよいのでしょうか。それを理解するために、島根県江津市の事例をみていきましょう。
江津市では、市内で創業に挑戦したい個人や第二創業に調整したい企業などに対する支援策の一環として、Go-con (「ごうつビジネスプランコンテスト」の略)という名称のビジネスプランコンテストを2010年度から年1回のペースで開催しています。
このコンテストはソーシャルビジネス等の創業を目指す人材を誘致・発掘することを目的に、江津市の地域資源の活用や、地域の課題解決につながるビジネスプランを全国から募集し、コンテストの受賞者に対して、受賞後1年間は江津市内を拠点としてプランの実現に向けた活動を実施することを条件に活動資金を賞金として提供するものです。
運営にあたっては、江津市及びコンテスト開催を契機に設立されたNPO法人「てごねっと石見」に加え、商工会議所、青年会議所、商工会、地域金融機関などからなる実行委員会が組織され、コンテストの運営や創業支援を持続的に行う仕組みを構築することで、創業人材を継続的に輩出しています。同コンテストの開催を契機に、商店街活性化や空き店舗活用などの取組が地域内に波及しつつあります。こうした取り組みが全国で注目され「平成25年度過疎地域自立活性化優良事例表彰」(主催:総務省、全国過疎地域自立促進連盟)において総務大臣賞を受賞しました。
このように江津市では、行政、支援団体など地域が一丸となって、創業人材の誘致による地域振興を推進しているのです。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立