債権者と株主の決算書の見方の違い その2
事務所だよりです。
経営者のお役にたてるような記事を配信しています。
少しでも経営にお役にたてていただければと思います。
貸方のもう一つの利害関係者は株主です。会社の株式を取得した人は、株主として貸借対照表では純資産に利害を有することになります。
株主は債権者と違い、元々リスクを背負って株式に投資しています。債権者にとっては会社が存続することが大前提ですが、株主はある意味で会社が存続しないリスクも踏まえ、そのリスクを補って余りあるリターンを求めています。
株主は株式購入のために投資した資金回収を二つのルートから行います。元本の果実は配当として会社から受取るほか、株式を第三者に売却することにより回収することもできます。配当も株式の売却も金額が確定していません。この点が契約により利息と元本の回収が確定している負債との最大の相違点です。会社の業績が好調なら、高い配当が得られるし、株式も高値で売却できます。その意味で株主にとって重要なのは、自分が資金を投入して株主になったときから、株主財産(自己資本)がどれだけ増加しているかです。株主財産は原理的には損益計算書の当期純利益の分だけ増加します。したがって、株主にとって重要なのは、自己資本に対する当期純利益の増加割合であるROE(自己資本当期純利益率)ということになります。このように、会社の利害関係者は皆が同じ着眼点で決算書を見ているわけではありません。それぞれの立場に応じて注目すべきポイントは異なります。会社側も、自分はどの利害関係者に向けて情報発信をするのかということを念頭において、決算書を作成し、決算説明をしていくことが求められます。(了)
(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立