カジノ計画による観光立国とそのビジネスチャンスについて
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12月20日、日本を訪れた外国人客数が初めて年間1,000万人を突破しました。政府は成長戦略の柱の一つに観光立国を掲げており、2030年には訪日外国人数を年間3,000万人超にすると目標を打ち出しています。
観光産業は、リーマンショック以降、東日本大震災、原発事故と逆風にさらされていました。そのなか、東京五輪開催が決定し、訪日外国人数を大幅に伸ばす起爆剤になるのではないかと期待されています。ただし、課題は観光客数の増加が一時的なものに終わらず、2020年の五輪が終わったあとも日本が観光立国であり続けることにあります。
現在、この課題解決に貢献するものとして有望視されているのが、「カジノ」計画です。カジノというとギャンブルのイメージが強くありますが、構想では、単にギャンブル場をこしらえるのではなく、ホテルや会議場、展示場、レストラン、ショッピングモールなど、統合型の施設をつくり、一大リゾート地区を創設するというものです。
世界ではすでにラスベガスやマカオなどが有名で成功をおさめています。その経済効果は高く、2009年に開業したシンガポールのカジノは、ギャンブル収益だけで年間5,900億円を超え、観光収入増加に大きく貢献しています。しかも、こうしたカジノ施設は、運営する企業以外にも幅広い分野にビジネスチャンスが及びます。たとえばカジノ施設設立に携わるゼネコンや、カジノゲーム機や紙幣機器などのメーカー、そしてホテルやレストラン、警備会社まで、カジノにより外国人観光客が安定的に増加することで多くの利益と雇用をもたらすことが期待されます。
日本では、賭博は原則禁止されています。カジノはギャンブル施設ですので、設立するには競馬やパチンコと同様に法整備が必要になります。そのなか、2013年12月5日、国会にカジノ設置を可能にする法案(特定複合観光施設区域整備推進法案)が提出され、2014年、通常国会での成立を目指しています。
法案成立後、カジノはどの地域に誘致されるのでしょうか。現在、候補地の一つに、東京のお台場があります。ここは、10年以上前から構想があり、五輪開催にともないようやく実現の機運が高まりました。そのほかの候補地には、大阪などの人口の多いところ、さらには沖縄、長崎、北海道などが挙がっています。
ただし、カジノに対しては、依然根強い反対があります。専門家のなかにはギャンブルの中毒性を危惧する人もいますし、ゲームに多額のお金を投じ、大きな損失を出したケースは枚挙にいとまがありません。そのほかにも、ギャンブルは不道徳だとする声も出ています。さらに、カジノ以外のギャンブルを運営する業界からは、自身の顧客が減ることを危惧して、カジノに対して反対の姿勢をみせる可能性も否定できません。
さらに、カジノのオープンが東京五輪に間に合うかどうかという時間的な問題もあります。この先、実施法ができるまで2年かかるといわれており、さらには、地元の反対者に対する説明や施設の建設が完了するまでの時間など、実現するまでには多くの時間が必要になります。カジノは観光立国、そして多大な経済効果が期待される一面、こうした決して低くない壁をいくつも乗り越えなければならない現実もあります。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立