災害に対するリスクマネジメントについて
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災害に対するリスクマネジメント
私たちが住む日本は4つのプレート(ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート)が折り重なった地点にある世界有数の地震大国です。
17年前に起きた「阪神淡路大震災」や昨年起こった「東日本大震災」は、未だ記憶に新しいところですが、今後、またこのような大震災がいつ起こるかわかりません。これらの災害を教訓に、企業として今後災害が起った際の対応を事前に検討しておくことが重要です。
災害が起っても事業を継続していくには、どのような行動が必要になるのでしょうか。
まず第一に自社の従業員に対する安全の確保を行うことがあげられるでしょう。東日本大震災においては、首都圏においても固定、携帯問わず電話がつながりにくくなり、交通ダイヤも混乱したため、帰宅困難者も多く発生しました。従業員の安全確保に関しては、防災マニュアルの作成と全従業員に対する落としこみが効果を発揮するでしょう。
優れた接客サービスが有名なザ・リッツ・カールトン・ホテルではクレド(経営理念)を書き記した名刺サイズの「クレドカード」を従業員が常時携帯し、頻繁に読み返すことで高度な接客サービスを作り上げたといいます。このケースを見本に、従業員が常時携帯できる災害時の行動マニュアルを作成し、緊急時の連絡手段等を記したカードなどを作成することで、安否確認をスムーズに行うことが可能になると考えられます。
被害が甚大な災害が起った際には、会社の建物や重要書類が失われたり、主要な取引先が被災したため、通常業務が難しくなるといったケースもでてくるでしょう。会社の建物の耐震強度を再度確認し、重要書類に関しては出来る限り電子化して事業所とは別の場所にバックアップを保管しておくなどの対応が必要です。
東京都豊島区の区役所では、2009年7月から「総合文書管理システム」というシステムを本格運用しており、文書の作成段階から、起案、決裁、施行、公開、保管に至るまでのサイクルをすべて一元的に管理できる体制を築いています。さらにこのシステム導入から半年で起案文書の電子化率99%を達成したとのこと。このようにほぼすべての書類を電子化しておけば、バックアップを事業所とは別の場所に保管することも容易に行うことができ、通常業務においてもスペースをより有効に活用することができるでしょう。
また、災害後も事業を継続させるためには主要取引先への対応が非常に重要となります。阪神淡路大震災の際、ある製造業者は自社の生産ラインがストップしたため、ライバル企業に代わりに生産してもらうことで取引先への影響を最小限に抑えることができ、自社設備復旧後の取引再開もスムーズに行えたといいます。このように、災害後のスムーズな事業再開のためにも、同業他社や取引先との間で災害時の対応を予め話しておくことが大切です。
中小企業庁のHPには、企業のBCP(事業継続計画)作成に役立つ情報が掲載されています。このようなものも活用しつつ、災害に対するリスクマネジメントを改めて考えてみてはいかがでしょうか。
記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立