ゼロから考えるについて
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ゼロから考える
金融庁は、金融機関に対してデット・デット・スワップ(Debt Debt Swap、略して「DDS」)の活用を促すようです。DDSとは、債務超過である企業の金融機関からの借入金の一部について、他の債務より返済順位が低く、返済期限が長期である劣後債へ転換することをいいます。
一定の条件を満たす劣後債については、金融機関が企業を評価する場合に負債ではなく純資産とみなすことができます。そのため、純資産の金額を大きくすることができ、金融機関はDDSを行う前より企業を高く評価することができるのです。逆に、企業としては、金融機関からの借入金の金額に変更はありませんが、借入金の返済期限が長期となるため、資金繰りを安定化できるというメリットがあります。
DDSは、金融機関・企業両者にとってメリットがありますが、金融機関は全ての企業に対してDDSを認める訳ではありません。DDSを認めるということは、企業に対する貸出債権の一部が長期間返済されないということです。そのため、DDS対象外の貸出債権の返済可能性が高い企業でなければ、金融機関があえてDDSを行うことはありません。貸出債権の返済可能性が高い企業とは、今後利益を確実に生み出し借入金を返済できる企業をいうのです。
今期、上場企業では過去最高益を達成する企業が150社を超える見込みです。しかし、中小企業では、東日本大震災や世界景気の減速により、赤字で苦しんでいる企業が多くあります。そのような企業がDDSの対象となるのですが、DDSを行うためには黒字化という高いハードルがあります。「黒字化できるのであれば、既にやっているよ。」という社長の声が聞こえてきそうです。
しかし、本当にそうでしょうか?筆者は、窮境に陥った企業の再生計画の策定のサポートを行うことがありますが、これ以上収益を改善できないと主張する企業でも、収益改善を達成できることが殆どです。現在の経済環境では、売上を伸ばすことは困難なケースが多いです。しかし、費用については削減余地があることが殆どです。普段当たり前のように払っている費用が、実は払わなくても企業活動に全く影響がなかったり、当たり前のように行っている製造プロセスをかなり短縮できたりすることがあります。
重要なポイントは、ゼロから考えることです。もし、今から事業を始めるのであれば、「この費用は必要なのか?」、「この行動は必要なのか?」等を一つ一つ再検討する必要があります。そうすれば、収益改善のポイントは見えてくるはずです。社会的に意義のある事業であれば、利益を生み出すことは必ずできると信じてほしいと思います。
記事提供者:アタックス 荒川 幸洋
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立