雇用を守るトヨタについて
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雇用を守るトヨタの国内生産再編に期待
2008年9月のリーマンショック以降世界経済は世界同時不況に陥りました。GMを抜いて世界一となったトヨタ自動車もこの波にのみ込まれ、車両の生産調整に入りました。この影響で多くの自動車関連企業も軒並み生産調整に追い込まれ、優良企業までもが雇用調整助成金申請を行いました。
さすがのトヨタも2009年3月期は連結ベースで赤字となり、従来の拡大路線を見直すこととなりました。象徴的な事件としては、GMと合併で立ち上げたNUMI工場を閉鎖させたことは記憶に新しいでしょう。その後トヨタは協力工場の協力も得て、お家芸の“原価改善”で2010年3月期には黒字に回復させました。
しかし、トヨタは3月11日の東日本大震災により、生産ストップ、生産調整を余儀なくされ、さらに長期化する円高傾向により、再び経営状況が厳しくなっていました。こんな状況下で、トヨタは国内生産を再編する決定をしたという新聞報道がなされました。
記事によれば、トヨタは東証一部上場子会社の車体メーカー、トヨタ車体と関東自動車工業を来年一月に株式交換で完全子会社化するそうです。円高が定着する中で国内生産300万台体制を維持するため、グループ一体で経営効率化に取り組み、追い上げる韓国メーカーなどとのグローバル競争に立ち向かうこととなります。
長引く円高、原子力発電所の停止による電力不足、電力コスト上昇懸念など、国内生産はマイナス要因が多く、トヨタ経営首脳陣は常識で考えれば海外生産シフトがベストと考えているはずです。
しかしトヨタには、長年取引を続けてきた協力会社が存在します。こうした協力会社との関係を維持するために、トヨタは国内生産の最低ライン年間300万台をなんとしても守り抜きたいと考えているようです。
今後トヨタは、小型車生産を中心とした東北、レクサスブランド高級車を生産する九州、そして中部地区と三極体制を築きます。トヨタは“製造立国日本”の代表的企業です。古くから、トヨタのトップは“物づくりは人づくり”といい、人を育てる社風が根付いており、このことが強いトヨタの“職場力”“現場力”となり、グローバル競争の覇者となったといってもよいでしょう。
トヨタのこれからに大いに期待したいと思います。そしてトヨタに限らず多くの製造業(輸出産業)が円高に苦しんでいる現実に政府は無策であってはいけません。このままでは産業の空洞化がますます進み、日本では若者の就業機会が減り、失業率が高まり、希望のない国となってしまいます。
トヨタのような個別企業の頑張りに期待すると共に、政府の抜本的な円高対策を期待したいものです。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立