技術流出と中国生産について
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技術流出を覚悟して、中国での生産へ
ヤマザキマザック、オークマ、アマダなど工作機械大手は、コンピュータで制御する高性能機に関し技術流出を防ごうと国内生産に拘ってきましたが、ここへ来て中国生産を決断したという新聞報道がありました。日本は、工作機械の生産額で中国に抜かれ、そしてドイツに抜かれ、終に世界第3位に転落した焦りは隠せません。
世界は、自由主義の西側諸国の資本主義と、中国などの国家資本主義とがぶつかり合う時代に突入しました。中国は、日本など西側から得た技術を使って低コストの資本と労働力でシェアを奪います。今や、ルールのまったく違う国家資本主義と競争しなければならないのです。マザーマシンを製造する高度な日本の技術力は、遅かれ早かれ中国に移転し、中国が世界のものづくりの中心になる日が来ることは明らかです。
それでは、日本企業が勝つにはどうすればいいのでしょうか。大企業の選択は、縮み行く国内での消耗戦から脱却し、アジアの成長を取り込むことです。あるいは業界再編を自ら主導し、過当競争をなくすことです。
避けなければならないことは、顧客から言われたことは何でも引き受けてしまう、「遠くを図る」経営戦略を欠如した「目先追及の姿勢」でしょう。研究開発でリードし続けることも、勿論、過当競争から脱却する道のひとつです。
一方、日本の中小企業はどうすればいいのでしょう。要は過当競争が一番いけないのです。「遠くを図らず目先に追われ続けて」いては永久に低収益や低賃金から脱却できません。大企業が攻めてこないニッチを狙い、そこでオンリーワンとなり、WTP ( Willingness to Pay = お客様が喜んでお金を支払ってくれる状態 )を創り出すしかありません。急には難しいでしょうが、脱下請け・自立化を模索すべき時が来ているのです。あるいは、日本で培ってきた自社の強みを、資本力のある大企業が攻めて来そうにない、アジアの新興国でのニッチ分野に誰よりも早く展開することでしょう。もし、何らかの蓄えがあるのなら、今は、思い切って攻めに転ずべき時ではないでしょうか。慌てる必要はありませんが、その決断を迫られているように思います。
記事提供者:アタックス 西浦 道明
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立