中国政府規制の視覚について
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中国政府、規制の死角
中国政府が国民の支持を得続けるかどうかは、二つの規制に成功できるかどうかにかかっています。
一つは格差問題を助長するインフレ抑制に成功するかどうかであり、もう一つは既得権層の腐敗構造にメスを入れることができるかどうかです。
8月の主要70都市の新築住宅価格指数が全都市で前年同月比プラスになったという新聞報道がありました。年初からの住宅ローン規制強化などの効果もあり、4〜6月には3都市で新築住宅価格が前年同月比マイナスに転じましたが、この前年同月比マイナスは7月には1都市に減り、8月には一つもなくなったのです。
住宅価格の実態は、期待通りに下がらず全国的に高止まりしているということでしょう。中国人民銀行が最近、都市住民に実施したアンケート調査では、住宅価格が「高すぎて受け入れられない」と答えた人が75.6%に上ったといいます。2009年の調査開始以来、最高の水準のようです。中国政府は、断固として住宅価格を抑制しなければならないのです。
同じく新聞報道によれば、預金金利が消費者物価指数の上昇率を下回る状態が続いているため、預金を解約して高利貸しの資金源に回っているといいます。ただ、驚くことにその資金源は国有企業や役人ら既得権益層の余剰資金なのです。こうした「地下金融」の行き着く先は中小企業や個人であり、支払金利が法定金利を大幅に上回るため、中小企業の破綻が相次いでいます。中国銀行業監督委員会はこのほど「インターネットを利用した個人金融が社会に悪影響を与える可能性がある」との異例とも言える警告の通達を出しました。
インフレが進行して住宅を買えない中国国民の不満は確かに大きいでしょうが、国有企業や役人などの既得権益層がこうしたやり方で自らの蓄財に励んでいるとすれば、遥かに許しがたい由々しき問題です。中国一般庶民はやるせない気持ちでしょう。中国政府に、真に優れたリーダーシップがあるのなら、この腐敗構造に何らかのメスを入れて欲しいと願うのは、中国の一般庶民だけではありません。中国の順調な経済発展なくして世界の順調な発展もあり得ないことから、この願いは、今や世界の願いでもあるからです。
記事提供者:アタックス 西浦 道明
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立