問われる組織対応能力について
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危機において問われる組織対応能力
東日本大震災は、有事の際の事業継続方法について企業の関心を高めました。
多くの企業が震災対応に苦慮するのを目の当たりにし、ビジネスパーソンの誰もが、事業継続の重要性について認識を新たにすると同時に、これからのビジネスのあり方について考えさせられたことでしょう。
今回の大震災は事業継続計画(BCP)を再考させるきっかけともなりました。これを受けて読者のなかには「BCPは有事に機能するのか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
当たり前ですが、事業継続を脅かす事象とその損害の程度を完全に想定することは不可能です。事業継続を脅かす要因があまりにも多く、環境の変化によっても変動しますし、そのリスクを回避・低減するノウハウや技術も時代によって変わっていきます。今回の大震災による影響は、事前の想定を超えるものであったことは誰しもが認めるところではないでしょうか。
今回の震災発生直後の救命活動、家族や職場での安否確認手段として、電話よりもメールやツイッター、交流サイト(SNS)が機能したことも、多くの企業にとって想定外だったのではないでしょうか。したがって、むしろBCPの見直しは当たり前のこととして捉えるべきでしょう。
今回の地震および津波は様々な事業継続リスクを出現させました。人および設備への直接的な被害のほか、通信、道路・港湾、電気・水道等のインフラの停止、基幹システムの損傷、仕入先が被災したことにより部材が十分に調達できなくなったこと等です。
事業継続を脅かす事象が発生した場合に組織として具体的にどう対応すべきかについて、時間を割いて検討する余裕がない企業も多いことでしょう。そうであっても、今回の震災体験によって、多くの「備えをしておけば防げたこと」についての気づきがあったのではないでしょうか。それを見過ごしてはいけません。
BCP策定の目的はあらゆるリスクについて完全なガイドを提供することではありません。実際は多くの想定外の事象が複雑に絡まって起こるものです。それでも起きた事象に対して迅速・的確に対応できるよう、組織の一人ひとりの応用力を高めることが重要であり、それこそが本来の目的と考えたいものです。
応用力を高めるには、平時から最低限必要な備えについて、経営者、幹部、従業員がコミュニケーションを十分に行っておくことが求められます。
記事提供者:アタックス 川合 和人
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立