高齢者市場の開拓について
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高齢者市場を開拓せよ!
東日本大震災で未曾有の災害を被った日本経済は、先行き不透明でこれからどう経営の舵取りをすれば良いのか、多くの経営者が頭を抱えている状態です。
政府が震災復興構想会議をスタートさせたので、数ヵ月後には日本復興ビジョンも公表されるでしょうし、震災の2次被害を含め、様々な支援制度も出てくるでしょう。一国民としては国に大いに期待もしたいですが、どんな環境下であれ経営者は時代を先読みし、自助努力で自社の将来を切り開かなければなりません。
ところで、時代の先読みをするためには長期の視点を持つことが重要です。株価、為替、金利など短期での予想は経済学者・エコノミストといった専門家でも意見は分かれますし、予想が外れることも多々あります。ですが、長期の未来予想は確実に当たる事実があります。人口推移です。
日本の人口は2004年の一億2,700万人をピークに減少傾向にあり、年齢が15歳から64歳までの生産年齢人口は1995年の8,700万人をピークに減少を続けています。また戦後の1947年〜49年に生まれたいわゆる団塊世代670万人がこれから65歳以上となり、いよいよ日本は高齢化社会に突入することとなります。
こんな経営環境の中で、外食産業大手のワタミが高齢者向け弁当宅配事業を強化するという新聞報道がなされました。
今、外食産業大手は、国内での出店売上の伸びが見込めないため、海外とりわけアジアへの出店を加速させています。イタリアンのサイゼリア、カレーの壱番屋などです。しかしワタミは、介護事業を手掛けていることもあってか、国内のこれから増加する高齢者市場に的を絞り、外食で培ったノウハウを武器として高齢者対象の弁当宅配を大きく展開しようとしています。
報道によるとワタミは、2013年度末までに沖縄を除く全国で宅配サービスを展開する方針で、2010年度の一日12万食から50万食に、年商は約3倍の500億円に伸ばす計画です。筆者は一食いくらで宅配するのか疑問に思い、仮に365日フルに宅配する前提で電卓をたたいてみました。一食280円弱でした。
ワタミが外食で調達する食材をベースに、この程度の価格で宅配できれば十分値打ちがあるでしょう。ワタミのスタートは居酒屋であり、上場会社にまで成長しました。次に手掛けた介護事業も成功しています。居酒屋、介護に共通するワタミの強みである人材育成を武器にすれば、高齢者向け弁当宅配も成功するのではないでしょうか。ちなみに、ワタミの渡邉美樹取締役最高顧問は、「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループになろう」と社員に熱く語っています。
P.F.ドラッカーは「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造に関わる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と言っています。
経営者は長期的視点に立って自社の事業の未来を展望し、経営を革新していかなければなりません。ワタミの例にならって、検討してみてはいかがでしょうか。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立