ビジネスは競争と協調について
事務所だよりです。
経営者のお役にたてるような記事を配信しています。
少しでも経営にお役にたてていただければと思います。
ビジネスは「競争」と「協調」
東日本大震災発生から10日経った3月21日付日経新聞朝刊で、トヨタ・日産・ホンダなど車両メーカー各社がトップのホットラインで結束して「部品が届かない」という深刻な状態に立ち向かっていると報じられていました。
記事によると、2007年7月の新潟県中越沖地震の時にエンジン部品を生産するリケンの工場が出荷不能になり、多くの自動車工場の操業が止まったことがありましたが、各社は総勢700人超の応援部隊を送り、リケンはわずか1週間で操業を再開させました。
しかし、今回は未曾有の震災であり、被災した部品メーカーは1社ではありません。被災状況もはるかに大きいものです。車両メーカー各社が一刻も早く車両生産を再開させたいと考えるのは当然でしょう。しかし、この事態を打開するために各社が先を争って部品調達に走ることはかえって混乱を招いてしまいます。そこで業界全体への影響を第一に考えた日本自動車工業会 志賀俊之会長(日産 最高執行責任者)、豊田章男副会長(トヨタ 社長)、ホンダ 伊東孝紳社長ら各社トップがホットラインを結び、頻繁に連絡を取り合うことで、「再開一番乗りを競うことはやめよう」という暗黙の合意ができたようです。
震災により部品調達に深刻な影響を受けた車両メーカー各社ですが、先を争って部品調達に走ることでかえって混乱を招きかねないとした各社トップは、「再開一番乗りを競うことはやめよう」という暗黙の合意を結んだようです。
ビジネスの世界は「競争と協調」で成り立っています。自動車メーカー各社は新車開発競争、販売競争にしのぎを削っており、「競争」が自動車産業を日本の基幹産業として大きく成長させました。しかし、今は「協調」が必要なのです。
自動車は2万点以上の部品によって作られており、二次三次の協力会社を含めると部品メーカーの数もたくさんあります。自動車産業はすそ野が大変広い産業です。自動車産業のクラスター構造は一朝一夕に築かれるものではなく、長い年月をかけた親会社、子会社、協力会社群の信頼と協力関係を積み重ねて形成されており、物づくり国家日本の強みでもあります。
各自動車メーカーが協調して被災した部品メーカーを支援することが、長期的観点から、自動車産業の復旧のみならず日本の製造業の強さを世界に示し、活力喪失気味の日本経済の復興につながることを期待したいと思います。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立