タレントマネジメントについて
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タレントマネジメントが必要な時代
昨今は、技術が複雑化・多様化したことにより、技術者教育を全社で統一してコントロールすることが難しくなり、個々の部門あるいは個人に“お任せ”という会社が多くなりました。
部門や個人の自主性に任せることは良いことですが、各社でその弊害が出ていることも否めません。新聞報道によれば、アルプス電気では、デジタル機器の小型化や高機能化により、部門をまたいだ開発・製造のノウハウが必要な案件が増えてきているという経緯から、今回若手技術者の教育プログラムを統一したとのことです。
このような流れは今後増えてくるでしょう。なぜならば、世の中が複雑化・多様化すれば、必然的に、自分ひとりあるいは一部門だけで全てを問題解決することがどんどん難しくなってくるからです。そうなると何が必要になってくるかと言えば「組織知」と「人脈」です。自分ひとりで解決できなくても社内に出来る人や手伝ってくれる人がいれば問題は解決されます。
そのためには、自社の「人材の見える化」が前提として必要となってきます。自社にどのようなノウハウがあり、それを誰が持っているかを知らなければ人を有効活用できません。また、あらゆるビジネスパーソンにとって、「他者の力を上手く活用して成果を出す能力」は今後ますます重要性を増してくるでしょう。
自社にどのような人材がいるのかを知り、他者の力を上手く活用することは、今後ますます重要になってくるでしょう。言い換えれば、各人の「Know-How」も大事だが、もっと重要なのは「Know-Who(誰を知っているか)」である、と言えるのです。
さらに、アルプス電気の取り組みで注目したいのが、若手が先輩社員とキャリア形成を相談しながら研修プログラムを選択する仕組みです。これは一般的には「メンター制度」と呼ばれている制度です。組織知や人脈は、紙だけの伝達やメールでの情報交換だけでは構築しづらいものです。やはり、人を介しての双方向の会話でなければ細かなニュアンスが伝わらないことが多いでしょう。また、人脈をうまく使えるかどうかは、普段のコミュニケーションで大きく差が出ます。普段まともに会話をしていない人に対しては、困った時に相談しづらいし、相談された方も本気でサポートしようとは思いません。コミュニケーションが希薄化した社会において、先輩社員を通じて「気軽に聞ける仕組み」を構築しておくことは非常に良いことです。
「人材の見える化」は、最近人材マネジメントの世界では、「タレントマネジメント」と呼ばれています。タレントマネジメントは、単なる人材情報の一元化ではなく、社員と会社全体の仕事の幅を広げ仕事の質を高めるための重要な戦略として捉える必要があるのです。
記事提供者:アタックス 稲垣 謙二
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立