海外進出としてのM&Aについて
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海外進出としてのM&A
日本企業とアジア企業間のM&Aが増加しています。
2月23日の日本経済新聞朝刊によれば、2010年に前年比83%増の274件に達し過去最高を記録するとともに、金額ベースでは3%増の8,900億円となったそうです。また、そのうちアジア企業へのM&Aが52%を占めているといいます。
日本企業が、少子高齢化で消費が縮小している国内市場では将来性に懸念を持ち、個人消費が伸びているアジア市場に活路を見出していること、一方でアジア企業の中には、日本企業の技術力やブランド力を獲得し、さらなる成長を期待してM&Aを行う企業が増加しているとのことが要因としてあげられています。また、昨今の円高が海外企業に対するM&Aを後押ししていることも考えられるでしょう。
M&Aのメリットとしては、本来であれば、ヒト、モノ、カネといった限られた経営資源をもとに長期間かけて事業基盤を確立していくところを、短期間で効率的に手に入れられるところにあります。一から海外で事業基盤を構築しようとすると、膨大な資金や労力を費やすことになるため、事業基盤を既に有している企業とのM&Aは非常に有効といえるでしょう。
M&Aのメリットは、本来長期間かけて確立しなければならない事業基盤を、短期間で効率的に手に入れられるところでしょう。特に、海外で一から事業基盤を確立するには、膨大な費用や労力がかかり、このことが日本企業とアジア企業とのM&Aが増加している一因と考えられます。
一方、デメリットとしては、国内企業同士のM&Aでもよくあることですが、それぞれ異なった企業風土の統合は容易ではなく、組織的統合が進まずに、当初予定していたシナジーを発揮できないことなどがしばしば見受けられます。これが法制度や文化が異なる海外の企業であればなおさらです。特に経営資源に余裕がない中小企業が、海外進出の必要性から安易に海外企業のM&Aを行うことは、管理体制の整備も含め、事前準備が十分でなければ失敗に終わる可能性は高いといえるでしょう。
M&Aを成功させるには、それによって何を得たいのか、シナジーが見込めるのか、といった経営戦略との整合性や、投資の採算性、経済合理性があるか、買収後の事業リスク、法的・人的に事業継続性に問題がないかなどを事前に分析、確認することが極めて重要となります。これらの事前準備を実施できてこそ、M&Aが海外進出の有効な1つの手段になることでしょう。
記事提供者:アタックス 坂井 啓宏
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立