相続税法の改正の方向性について
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相続税法の改正の方向性
◆政府税調の相続税法改正議論の論点
政府税調のホームページで確認できるところによると、相続税・贈与税の改正につき次の論点があげられています。
@相続税基礎控除を60%カットする
A10億円超につき最高税率を60%にする
B退職金・保険金の500万円非課税枠廃止
C贈与税の基礎控除のアップ
D遺産税体系への切り替え
◆昭和50年代の相続税
昭和50年代から60年代はじめにおいては<2000万円+400万円×相続人数>が相続税の基礎控除でした。それがバブルの到来とともに昭和63年に一気に2倍になり、その6年後現在の2.5倍になっています。
地価が昭和50年代の水準に下落しているのに、基礎控除が高いまま据え置かれていることは不合理であり、50年代水準に戻すべき、との説明資料が公開されています。
◆最高税率と500万円非課税枠
相続税の最高税率は以前70%とか75%とかでしたが、現在は50%です。昭和63年以降数次にわたり、最高税率の引下げを含む累進構造の緩和が行われてきており、相続税の資産再分配機能が低下している、とコメントされています。
会計検査院の「平成18年度決算検査報告」を引用して、「死亡保険金の非課税措置については、高所得者も適用しており、節税目的と思慮されるものも見受けられる」と述べ、退職金・保険金の500万円非課税枠廃止の意向を明らかにしています。
◆相続税重課と贈与税軽課
高齢化社会になり、相続の発生が長期に繰り延べられていることを踏まえ、現役世代への生前贈与促進による消費の振興は従来からの政策でした。
相続税の重課と贈与税の軽課は消費促進的であるとの立場が今年は一層鮮明で、贈与税の軽課策としての基礎控除のアップと相続時精算課税の孫への適用拡大が提案されています。
◆民主党は遺産税体系
現行相続税が、遺産税と遺産取得税の折衷方式であるところ、民主党は遺産税体系に体系変更することを打ち出していました。
最高裁判決で所得税との二重課税が禁止されたことを踏まえると、アメリカ的遺産税方式の方が清算的課税をしやすいので、それへの傾向が強くなっている印象を受けます。◆赤字会社数過去最高
直近の国税庁公開統計情報によると法人の黒字申告割合は25.5%で過去最低だそうです。公務員と大企業の正社員中心主義社会を維持する上で下請け中小企業の利益が圧迫されることが必然となっている構造下では赤字法人比率は中小企業に不可避的に高くなっていると思われます。
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立