選択と集中について
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選択と集中
富士通と東芝が携帯端末事業を統合します。
日本経済新聞の7月29日付の記事によると、同事業で富士通は国内市場3位、東芝は8位で、統合後は国内市場でシャープに次いでシェア第2位となります。今回の統合は東芝が携帯端末事業を本体から切り離して新会社を設立し、この会社に富士通が8割、東芝が2割を出資する形態をとります。東芝はもともと富士通への完全売却を検討していましたが、端末の主要供給先KDDI(AU)に配慮して一部出資を残す形にしたようです。
ところで、携帯電話端末の世界市場は年間2億台で、トップスリーはフィンランドのノキア、韓国のサムスン電子、LG電子の順であり、この上位3企業で市場の60%を押さえています。シャープをはじめとする日本メーカーは全部合わせても3%に過ぎません。今回の富士通、東芝の事業統合は国内シェア25%を目標とするとともに、今後海外市場を積極的に開拓するといっていますが、この程度の業務統合では世界市場で戦うには不十分です。かつてGEの社長であったジャック・ウェルチは「ナンバーワン、ナンバーツーでない、またはそうなる見込みのない事業は撤退するか売却する」と言い切りました。そして、GEが得意とする分野へ事業の「選択と集中」を行い、GEを世界最強企業のひとつに成長させたのです。
2000年代に入り、経済のグローバル化がいっそう進み、大企業に限らず中堅企業も世界で競争しています。グローバル市場での生き残りは「選択と集中」によるスピーディーな事業再構築であり、この点では日本企業は韓国企業に大きく遅れをとっています。2015年からIFRS(国際会計基準)が大企業に強制適用される予定です。グローバル競争がいっそう激しくなることも予想されます。
今回の携帯端末事業の統合は、東芝の「選択と集中」による事業売却(逆に、東芝は原子力事業ではウエスティングハウスを傘下に入れています)によって実現しましたが、この流れは、同市場において更に加速していくことが予想されます。
ところで、成熟した国内市場で事業を行う中堅、中小企業にあっても、「選択と集中」は生き残りのキーワードです。全国各地に存在する地場産業、オーバーカンパニー状態の建設業、オーバーストア状態の流通小売業など、国内市場が縮小する中で、同業同士生き残りをかけてお互いに手を組み事業統合を行うケースは今後増加すると思われます。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立