市場消滅の備えについて
事務所だよりです。
経営者のお役にたてるような記事を配信しています。
少しでも経営にお役にたてていただければと思います。
市場消滅に備えるには?
1円玉の製造枚数が大幅に減少しています。
財務省は、2010年度の1円玉の製造枚数をピーク時の1990年の約2,700分の1にとどめる方針です。原因は、スイカなどの電子マネーの普及で小銭を持たなくても買い物ができるようになり、1円玉の使用量が減っているためとのことです。小銭を使わなくても済む電子マネーは、支払う手間も省けるし財布もすっきりするため多くの人が使っています。また、電車にのる時にも使用できるなどの利便性も高まっています。こうして、1円玉の流通が縮小しているのです。
さて、仮に貴社が1円玉製造業者であったらどう考えるでしょうか?電子マネーというイノベーションにより、貴社の飯のタネとなってきた市場が消滅(縮小)する危機です。このような市場消滅のケースは過去にも起こってきました。例えば、コンパクトディスクの登場によるレコード市場の大幅な縮小、パソコンの登場によるワープロ専用機市場の大幅な縮小など多くのケースがあります。急速に開発が進んでいる電気自動車の普及によってガソリン車市場が大きく減少する可能性もあります。今ある市場がイノベーションによって、消滅することは珍しいことではないのです。
では、どうしたら、市場消滅に備えることができるのでしょうか。方法論はいくつかありますが、主要と思われる点を4つあげてみましょう。
1点目は、直線的に考えないということです。今日の気温が30度なので明日はもっと暑くなると考えるのが直線的な考え方です。実際には、夏の後には秋が来るからいずれ気温は下がっていきます。当たり前のことですが、人間はどうしても自分の都合の良い方向に解釈したがるため、変化の兆しを見逃しがちになります。
2点目は、マーケティングです。市場、顧客、競合、技術などの外部動向に目を向けることです。有効なマーケティングを行うことで、次にどんな手を打たなければいけないかが理解できるようになります。
3点目は、イノベーションです。これは、次に打つ手を実現するために必要なスキルです。想いとアイデアがあっても、それが実現できなければビジネスとしては成り立ちません。例えば、外部研究機関からの情報収集に取り組むなど、積極的に技術レベルを向上させることが必要です。
4点目は、上記3点を全社的に展開することです。経営陣、市場調査部門、開発部門だけが担当すればいいというものではありません。全社員で取り組むことが最も重要なポイントなのです。
市場消滅のリスクはどんな企業にもあります。そのときになってあたふたしないように、今から備えておく必要があるのです。
記事提供者:アタックス 諸戸 和晃
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立