自社のコア・コンピタンスについて
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自社のコア・コンピタンスを磨き新たな成長を
有力企業の間で創業事業に代わって後発の多角化部門が稼ぎ頭に台頭するケースが増えているようです。
新聞報道では、事業環境の変化に合わせて伝統技術の応用や周辺分野への進出で本業の幅を広げ、業績の安定や再成長につなげているケースが紹介されていました。
富士紡ホールディングスは不織布の技術を活かした液晶ガラス用の高精密研磨剤が稼ぎ頭となり3期ぶりの営業増益を見込んでいます。日清紡ホールディングスは「摩擦力の大きな繊維」の技術を活かしたブレーキパッド(ブレーキ部品)で35億円の利益を稼ぎました。一時は世界最大級の生糸メーカーだった片倉工業は蚕のさなぎからビタミンを取り出す技術を応用し、今や収益の柱は医薬です。大日本印刷は印刷技術を応用した液晶用反射防止フィルムが7割の世界シェアを握り、印刷部門を抜き収益の稼ぎ頭となっています。日本水産は魚類から抽出される「魚油」を使って医薬品の原液や健康食品を製造するファインケミカルの営業利益が50億円と全体利益の60%を占めています。
思うに事業の継続は、環境変化に合わせた絶えざる革新によってのみ保証されると言えます。事業革新の一つ目は企業が保有している自社の強み(コア・コンピタンス)に磨きをかけること、あるいは新たなコア・コンピタンスを開発・獲得することによって新製品・新サービスを開発し、既存の市場における地位を守り抜くことが考えられます。自動車メーカーがハイブリッドエンジン、電気モーターの技術開発競争で自動車産業の中で生き残りをはかろうとしているのはこの例でしょう。
二つ目の事業革新は自社のコア・コンピタンスをベースとして新製品・新サービスを開発し、新たな市場を創造することです。その1で挙げた事例はいずれも二つ目の事例でしょう。
ところで、企業の持つコア・コンピタンス(つまり他社にはない競争力・差別化の源泉)は技術に由来することが多いものですが、事業システムあるいは商品企画力がコア・コンピタンスとなるケースも結構多いことを忘れてはいけません。事業システムがコア・コンピタンスで成功した代表例は「今日注文した商品は明日来る」アスクルであり、商品企画力がコア・コンピタンスで成功した代表例は「あったらいいなをカタチにする」小林製薬でしょう。
現在は大変な時代です。大変とは「大きく変わる」ということであり、大きく変わる時代は新製品・新サービスを市場が求める時代でもあります。月並みな表現ではあるが「変化はチャンス」なのです。企業経営者は経営幹部、中堅、若手の知恵も借りて、まず自社のコア・コンピタンスが何かを再検討していただきたいものです。それと同時に自社の事業存続のためにコア・コンピタンスに磨きをかけ、あるいは新たな自社のコア・コンピタンスを獲得する策を練り変化をチャンスに変えていただきたいと思います。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立