イノベーティブな企業について
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イノベーティブな企業家を輩出する国づくりを
バンクーバー冬季オリンピックでは、韓国のメダルラッシュに比べ日本のメダル数の少なさに両国の勢いの差を感じた人も多いと思いますが、新規株式公開(IPO)でも韓国と日本では資金調達額、公開件数でその差が顕著となっています。
新聞報道によると、今年の韓国市場でのIPOによる資金調達額が過去最高を更新する見通しで、生命保険最大手のサムスン生命保険など大型上場が相次ぎ、調達額は全体で10兆ウォン(約8,000億円)に達すると言われています。韓国では2008年に米国発金融危機の影響でIPO42社、調達額が8,000億ウォン(約640億円)と2000年以降の最低に急減しましたが、2009年には66社、3兆4,000億ウォン(約2,720億円)と回復し、今年はさらに拡大すると予測されています。
主要国に先行した景気回復と金融緩和による潤沢な資金を追い風に韓国ではIPOが活力を取り戻したのに比べ、日本はIPOの社数、資金調達額が極端に少なくなっています。2009年の資金調達額は339億円(19社)で新規公開社数が直近ピークだった2006年に比べると1割以下の水準となっています。
新聞報道では、日本におけるIPOの減少の理由としてリーマンショック後の景気後退で上場基準を満たす企業が減少したこと、株式相場の低迷で十分な資金調達額が見込めないことが挙げられていますが、上場準備コスト、上場後の維持コストが高すぎることにも問題があるのではないでしょうか。
IPOの社数が増えることは国の経済が成長、発展するバロメーターです。昨年9月に政権交代を果たした民主党鳩山政権は「コンクリートから人へ」「友愛政治」をスローガンに掲げ、子供手当に代表される福祉国家を目指しています。このことを否定するつもりはありませんが、福祉のためには財源が必要です。そして、その財源を得るためには企業の成長が必要であり、国の成長戦略がなければなりません。この6月には政府は新成長戦略とその工程表(成長戦略実行計画)を公表します。
J.シュンペーターは企業家の野心に基づくイノベーションと銀行の与信機能による「創造的破壊」活動が経済を発展させると言いました。シュンペーターが唱えるイノベーション活動とは@新しい商品の開発A新しい技術・生産方法の導入B新しい市場の開拓C原材料の新しい供給源の獲得D新しい経営組織の実現です。
政府は環境・健康・観光の3Kで100兆円の需要を創造することを新成長戦略の柱とする方針を発表しています。この需要を創造するためには時代の変化をチャンスととらえイノベーティブに活動する企業家を輩出しなければなりません。新成長戦略には企業家の育成、環境整備の方針を示し、ぜひIPO社数を増やす戦略が盛り込まれることを期待したいと思います。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立