安定したキャッシュフローについて
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重要なのは安定したキャッシュフローの創出力
昨年末に話題となった「中小企業金融円滑化法」ですが、施行後2ヶ月で大手銀行だけでも3.6万件の申請があり、中小企業の資金繰り改善に効果をあげているようです。
借入金の条件変更が可能となった中小企業は大手銀行だけでも約1万件、その金額は7,000億円にのぼりました。この水準は2008年にスタートした景気対応緊急保証が約18兆円、セーフティネット貸付が約6兆円であることから考えても、「中小企業金融円滑化法」に対する注目度や期待値は高かったことが伺えます。
また、この法律による「貸付条件の変更等」の対応は、信用保証協会等の特定の機関が査定をするのではなく、取引金融機関が連携して企業の再生を支援することが求められます。このように従来の中小企業の資金繰り対策よりも高いハードルにもかかわらず、上記の実績となったことは、金融機関としても充分な受入体制を準備して望んだことが伺えます。
会社と金融機関が共同で取り組む「中小企業金融円滑化法」ですが、この法律の成否は、企業が本質的な経営改善に取り組めるかどうかにかかっています。金融機関は企業の再生を支援するにあたり、企業が作成した経営改善計画を吟味し、改善後のキャッシュフロー創出力を見極めたうえで「貸出条件の変更等」を行います。
「中小企業金融円滑化法」による経営改善においては、蓋然性が高い施策であることを前提に最大限の自助努力が企業側に求められ、その成果に基づき貸出条件が設定されます。従って、経営改善の実現は決して平坦ではなく、万が一、失敗すれば金融機関等の信用をなくす可能性もあるのです。
これらのことから「中小企業金融円滑化法」を活用する場合、将来の売上回復に期待するような安易な経営改善への取り組み姿勢はリスクが高いといえるでしょう。
昨今の外部環境の変化はその業界のプロである経営者にも予測不能なほど激しく、企業の売上は乱高下しています。このような状況の中で、キャッシュフローを安定させる一つの方法としては、想定される売上水準毎の対策を予めたてておき、期中の売上水準をモニタリングしながら、適切な対策をタイムリーに実施すること等があげられます。
企業再生時の経営改善には、安定したキャッシュフローを創出する体制をいかに構築するかがポイントとなります。「中小企業金融円滑化法」の活用等、自社の再生を考えられている経営者の方には、この視点で自社の経営改善策を検討してみてはいかがでしょうか。
記事提供者:アタックス 池ヶ谷 穣次
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立