贈与税の負担!重い?軽い?
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贈与税の負担は重いのか、軽いのか!?
言わずもがなの鳩山家の資金提供問題ですが、最終的には鳩山首相は母親からの資金提供について贈与税の納付を行って対応することになったようです。
贈与税とは、ご存知のとおり個人から現金や不動産など経済的価値があるものをもらった際にかかる税金です。
単に現金や不動産だけでなく、著しく低い価格で株券を譲り受けた場合や親から借りた住宅資金について債務免除を受けた場合、母親を被保険者として自分が受取人になっている生命保険の保険料を父親(契約者)が負担しているような場合(保険金受取時)にも贈与税が課税されるため注意が必要です。
もっとも、親が子に対して与える通常必要と認められる生活費や教育費などは、非課税財産として贈与税は課税されません。
贈与税の計算は、贈与のあった年の1月1日から12月31日までの1年間に譲り受けた財産の合計額から110万円(基礎控除)を控除した残りの額に対して税率を乗じて計算されます。
税率は累進税率となっていますが、相続税の税率に比べて累進割合が急峻で、基礎控除を引いた財産額が1,000万円を超えるとすぐに最高税率である50%で課税されるため、一般的には負担感の大きな税金といえるでしょう。
鳩山首相の母親からの資金提供も億を超える大きな金額であることから、ペナルティーの延滞税と無申告加算税とともに、おおよそ半分が税金として国に徴収されることになります。 しかしこのことは、単に納税額だけの話ではなく、無申告であったことが大きな問題です。
新聞でも報道されましたが、「仮想隠ぺい」がなければ2002年分と2003年分が時効となって贈与税の一部が返還されるという話です。
税法的には、「偽り不正」すなわち、脱税の意思をもって偽計その他の工作をして、税の課税徴収を不能もしくは困難ならしめる過少申告や無申告をするということがなければ、国税債務の時効期間は5年であり、最長の7年に延びるということはありません。
おそらくは、“納めるものは納めてしまって”という方向であることから、大きな仮想隠ぺいや偽り不正はないのだとは思われますが、国のトップ、徴税をつかさどる省庁のさらに上の首相がこういったことでは、なんとも示しが付かない話です。
当初、母親から首相への「貸付金」という方向で処理を図りましたが、借用書もなければ、元本も利息の支払いもないというお粗末な実態から贈与に切り替えたという経緯に鑑みても、言い訳の余地はなさそうです。
鳩山家にとっての贈与税の負担は、十分な支払い能力のあるお金持ちであるだけに、諸問題を解決するための一手段に過ぎないと捉えれば大きな負担ではないかもしれません。
しかし、逆に、お金持ちであるがゆえに、「贈与税の支払義務を知らないということはありえない」となれば「脱税」との批判は避けて通れませんし、金額的な負担以上に信頼失墜という大きな負担があるのかもしれません。
記事提供者:アタックス 伊藤 彰夫
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立