難局を乗り切る経営戦略について
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この難局を乗り切る経営戦略
世界中で、需要という需要が、リーマン・ショック前と比べ7〜8割に縮小したのではないでしょうか。
こんなとんでもない時代ですが、経営者たるもの「どうにも手の打ちようがない」などと情けないことを言ってはいられません。こうした環境下でも頑張っている会社があるからです。不振が目立つ航空業界にあって、業績を大幅に改善させたスカイマークもその一社です。
同社の平成20年4−9月期と平成21年4-9月期とを比べると、その改善振りに驚嘆させられます。売上高が222億円から210億円に5.2%減少するなか、事業費を235億円から176億円にまで25%ダウン、販売費及び一般管理費を13億円から11億円にまで14%ダウンさせています。その結果、前第2四半期の営業損失△27億円を、今第2四半期は22億円の営業黒字にまで、エクセレント・カンパニーの最低条件とも言える売上高営業利益率10%超にまで大幅改善を実現しているのです。
25%という事業費の削減幅に驚きますが、決してコストを一律にカットした訳ではありません。機材に関して、280席のボーイング767型を取り止め、177席という小型機ボーイング737-800型に統一し、この10月から10機体制に転換したことが最大の要因です。正にJALやANAと明確に差別化し、事業分野の選択と集中を図ったのです。
スカイマークの平成21年4-9月期の業績が大幅に改善されたのは、機材に関し、ボーイング767型を取り止めて小型機ボーイング737-800型に統一し、他の航空会社との差別化を図ったニッチ戦略が功を奏したことによります。加えて、9月に購入したシミュレーター1台で全パイロットが訓練できるという教育の効率性まで獲得しています。
この機材のダウンサイジングのお蔭で、空港使用料を10%、燃料関連費を40%、航空機材費を9%、整備費を46%、それぞれ減少させることに成功しました。一方、国内定期路線の搭乗実績は4月の65%から9月の84%にまで大幅に改善できました。こうした機材ダウンサイジングにより、搭乗率のブレーク・イーブン・ポイントを80%から68%にまで引き下げると同時に、平均搭乗率を高め、収益向上に結びつけることができたのです。
JALやANAが、不採算な地方間路線の縮小・廃止に動くなか、スカイマークは、逆にその地方間路線に対して進出・事業拡大を検討しています。スカイマークから学べることは、事業分野を絞り込むという発想です。今は大変な難局ではありますが、見方を少し変えれば、中堅中小企業に多くのチャンスが到来しているのかもしれません。
記事提供者:アタックス 西浦 道明
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立