金融支援と経営革新支援
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金融支援だけでなく「経営革新」支援を
政府は中小企業対策を強化するため、「中小企業支援会議」として首相直属の諮問機関を発足させる模様です。
債務返済猶予の実施対象を銀行だけでなく、ノンバンク、リース、債権回収会社にも広げ、また、ジェトロを通じた海外進出支援も拡充します。1月中にも具体策をまとめたいとのことです。
ここでの最優先課題は、昨年の臨時国会で成立した中小企業金融円滑化法の適用対象の拡大だといわれています。資金繰りが苦しい中小企業を救済するため、借り手から要請を受けた金融機関に返済条件を見直すよう努力義務を課していますが、銀行に限っている対象機関にノンバンクなども追加する法改正を模索する模様です。
昨今の経済情勢で中小企業は疲弊しています。特に今まで「系列」または「親」として信頼し従ってきた大企業が、国内市場の縮小やデフレで業績がままならぬなか、傘下の中小企業を守れなくなっていることが大きな原因でしょう。
しかし、返済猶予が最優先課題で良いのでしょうか?確かに、借入金の返済が猶予されれば一時的に資金繰りは楽になることは間違いありません。だがいつかは返さなくてはならないものなのです。返済猶予の間にその資金が稼げる体質に転換できれば大変良いことですが、その保証はどこにもないのです。
今、中小企業対策として国が取り組むべき最優先課題は、中小企業のそれぞれに「経営革新」を推進させることではないでしょうか。
経営革新とは、従来のビジネスから新たな取り組みをおこない、会社のビジネスモデルを転換したり、同じビジネスでも社内を改革することによって、収益性を高めたりする取り組みです。
例えば、自動車の下請けとしてエンジン部品を製造している会社は、10年後同じ製造業で生き残ることは難しいと思われます。電気自動車の発達によってエンジンがなくなるからです。恐らく誰でも同じことを思ってはいますが、どうしてよいか明確に答えが無いのが現状だと思われます。しかし、自社の得意とする技術を生かせる市場に向けて、ビジネスモデルの変革に取り組まなくてはなりません。それを、支援する体制が絶対に不可欠であるといえます。
経営革新といえば、中小企業庁が中小企業新事業活動促進法に基づき、中小企業の支援を行なってはいますが、企業自身が取り組みを行なったものに金融支援などを付加するのがメインで、革新そのものを支援するものではありません。また、経済産業省は産業クラスターと称して、中小企業の新事業に対しアドバイザーを組織したり、金融機関へのプレゼンの場を提供するなどバックアップ体制を敷いていますが、まだまだ活用は十分ではないのです。
ぜひとも国をあげて、中小企業が経営革新に向けて利用しやすく、成果のでる支援体制を望みたいものです。それこそが、日本の経済を活性化させ、雇用を守ることに繋がると確信しています。
記事提供者:アタックス 片岡 正輝
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立