経営は絶えざる革新について
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経営は絶えざる革新である
デフレ経済が長期化する中で、ほとんどの会社が売上減少と赤字経営に悩んでいます。
赤字経営脱出のために、ムダなコストは一円でもカットするローコスト経営に各社は懸命に取り組まなければ企業存続が難しい時代になっています。なりふり構わず聖域なしでコスト削減をしていても、赤字経営を脱出できず、もうこれ以上は打つ手がないと考え込んでいる経営者も多いでしょう。
しかし、経営者であれば、デフレの中でも業績絶好調の会社もあることを知っておくべきです。こんな会社の一つに外食のサイゼリアがあります。新聞報道では「2009年8月期の営業利益率は10%強。ファミレス業界でダントツの数字を叩き出す」とあります。同社の決算数字を有価証券報告書で調べてみたところ、売上高は883億円、営業利益は91億円でした。
筆者も以前からサイゼリアの経営に関心があり、時々は店を利用して店員の動作を観察していましたが、確かに店舗は機能的に設計されています。
ファミレス業界におけるサイゼリアの高い利益率の秘密は何だろうかと思っていたところ、半年ほど前に正垣会長との面談のチャンスを得ました。正垣会長から2時間ほどかけて同社の創業から今日に至るまでの経緯、苦労話、ビジョン、戦略を聞くことができました。
面談の中で正垣会長は「お客様が来ないのを周りのせいにするのは間違いだと思う」と語っていました。正垣会長はお客様に喜んでもらえることが第一優先で、「楽・良・早・安」を徹底的に追求していると話してくれました。
「楽」とは社員の仕事をラクにしないと仕事は継続できないということで、仕事がラクになることを徹底的に考えています。「良」はもちろん品質です。値段との相談ではありますが、良品安価を追求することです。「早」は注文をもらったら早く提供することです。筆者が利用した体験では、注文して10分以上待たされたことは一度もありません。「安」は安い、安心という意味です。確かにサイゼリアのメニューは安価です。
サイゼリアは複数の食品加工工場を持ち、店舗での調理作業をほとんどなくしています。また店舗で使用する野菜を自前の農場で育てています。正垣会長は「畑で収穫してからお客様の口に入るまでを一つの工場として捉えている。究極の形は製造直販業。完成型まで今は六合目くらいだと思っている」と語っています。サイゼリアの経営は極めて科学的です。創業者の正垣会長をはじめ社員の大半が理系出身で、常識を疑い、科学的に考える習性が染みついているのです。
正垣会長は雑誌のインタビューで「なぜを10回繰り返せ。本質を見抜くまでとことん執着する。迷ったら必ず現場確認」と改善と生産性向上の極意を語っています。思えばサイゼリアも創業者の正垣会長が一つの店舗から始め、「お客様に美味しいものを食べさせてあげたい。喜んでもらいたい」という高い志が働く仲間達に共感を得て、店舗数836店(国内803店、海外33店※2009年8月期連結)の今日の姿になっていったのです。
デフレ時代の今、経営者に求められるのはデフレを嘆くのではなく、高い志を持ち、創意工夫で事態を乗り切ることではないでしょうか。知恵は無限です。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立