エンパワーメントについて
事務所だよりです。
経営者のお役にたてるような記事を配信しています。
少しでも経営にお役にたてていただければと思います。
“エンパワーメント”成功の条件!
“権限委譲”と同じ意味で使われる言葉に“エンパワーメント”があります。
経営用語として使われ始めたのは20年ほど前であり、決して目新しくはないのですが、この言葉が今ほど大切な時代はありません。いかにエンパワーメントを理解し経営に活かすべきか、ユニーの事例を通して考えてみたいと思います。
大型ショッピングセンター「アピタ」と、食品主体のスーパー「ピアゴ」を中心に、234店舗を全国1府19県で展開しているユニーが、2011年2月から、各店舗の運営責任者である店長への権限委譲を進めると発表しました。本部主導を店舗主導に変えることで、地域特性や顧客動向に応じた機動力ある店舗運営を実現し、業績回復を狙うというものです。
かつて、本部主導の店舗運営が機能したのは、本部が頭脳となって常に正しい判断をくだし、リアルタイムで店舗を監視・指導することができたからです。しかし、店舗の広域化と規模拡大、そして消費者ニーズの多様化による競争激化が、本部主導による統制の限界を越えてしまいました。その克服策が今回のエンパワーメントです。現場の裁量が大きくなれば、顧客視点に立ったサービスや迅速な対応が可能となります。また独自の創意工夫と行動によって社員のやる気も高まり、職場の活性化も期待できるというわけです。こうして見るとエンパワーメントは良いこと尽くめに思えますが、そこにはリスクがあることも忘れてはいけません。
第一のリスクは、店長の裁量拡大による、売り場やサービス面での店舗間格差の拡大です。組織的なコントロール機能の低下が、企業ブランドの統一感を損なうことも起こり得ます。そうならないために必要なことは、企業の価値観や行動規範の徹底です。これだけは外してはならないという確固たる軸を徹底的に店舗に浸透させることによってリスクを回避することができるのです。
第二のリスクは、エンパワーメントを、単に「仕事を明け渡す」ことと勘違いし、本部がやるべきことまで現場に丸投げし現場が疲弊してしまう可能性です。当たり前のことですが、本部が担うことと現場が担うことを明確に切り分けることが大切です。
最後にエンパワーメントの必要条件として、リーダーシップスタイルの変革をあげておきたいと思います。これは指示的リーダーシップから、支援的リーダーシップへの転換を意味します。上位者である本部が答えをすべて用意して指示するスタイルから、現場が自ら答えを見つけ出し行動できるよう支援するスタイルへと、本部が自ら変らなければなりません。つまり、上位者である本部が、支援型リーダーシップスタイルをマインドセットし、質問力、傾聴力、示唆力といったコミュニケーションスキルを習得することがエンパワーメントには不可欠といえるのです。
今後は、益々現場主導のマネジメントが中心となるでしょう。それにはエンパワーメントが必ず必要となります。その成功の決め手は、仕組みと教育の徹底によるリスク回避と、上位者のリーダーシップスタイルの変革にあるのです。
記事提供者:アタックス 北村 信貴子
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立