リスク管理が試されるについて
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リスク管理がためされるとき
昨年、メキシコの5歳の男の子が発症したインフルエンザが、新型であることが分かった。
その後、新型インフルエンザは瞬く間に世界的大流行(6/11にWHOは最高度フェーズ6を宣言)となり、日本では水際や検疫での封じ込め作戦の甲斐なく、各地で集団感染が発生している。
今回のインフルエンザは夏に入っても関連記事が絶え間なく掲載されている。いくつか例にあげてみよう。
JR3社は新型インフルなどの影響で第1四半期の純利益が前年同期の4割を越す減益だという。これはインフルエンザが経済に及ぼす影響を伝えている。また、新型インフル対策としてマスクや消毒液の供給体制を強化しているという記事では、秋以降の感染拡大が当然視されていることを伝えている。
他には、日本経団連が7月30日に発表した新型インフルエンザ対策に関する企業アンケートで、今後1年間に重点的に取り組む対策は「継続業務の絞り込み・業務継続体制の整備」が46.0%で最多だったという記事。これは企業のリスク管理意識の高まりを表わしている。そして、待望のワクチンの記事だが、効果は期待できそうではあるものの、どうやら世界的大流行を防ぐ量が準備できるかどうかは定かではないようだ。
社内パンデミックを最小限の労働力の欠損で回避するため、今一度、厚生労働省による「新型インフルエンザ対策ガイドライン」を参照し、「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」を確認されたい。
ある社員が感染した場合、他の社員への感染拡大を回避するために、自宅療養ないしは自宅待機を求めることになるが、5日から10日間はその労働力を失うことになる。社内パンデミックを最小限の労働力の欠損で回避できるかどうかは、その初期動作にかかっている。
ここで、企業の具体的な対応として、ある会社の対応例をご紹介しよう。
その会社の総務部はある社員の家族が新型インフルエンザに感染した旨の連絡を受けた。その社員は出社しているが、現状では自覚症状はないとのこと。一方、その社員は他者への感染を回避すべく自ら会議室に閉じこもり総務部の指示を待った。総務部は産業医とも相談し、以下の指示を出した。
・できるだけ速やかに退社し、自宅待機せよ
・自宅待機は、感染した家族が完治した日から3日を経過する日までとする
・本人が感染し発病した場合は、本人が完治した日から3日を経過する日までとする
この社員は家族の感染で直ちに自宅待機に入ったが、その後、本人も感染していることがわかった。しかし、総務部の速やかな自宅待機の指示が効果的だったのか、社内に他の感染者は発生せず、パンデミックには至らなかった。その社員も、一時39度台まで上がった熱は順調に下がり医師の指示に従い無事に職場復帰した。
今回の新型インフルは企業のリスク管理がためされるときである。初期動作を誤って大きな損失を被らないよう、十分に留意いただきたいものである。
記事提供者:アタックス 入駒 慶吾
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立