中堅中小企業にとっての銀行について
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中堅中小企業にとって銀行は頼りになるのか
企業と銀行の関係が希薄化し、銀行が取引先の経営が破綻する前に金融支援(金利減免、債務放棄等)による再生を検討するというプロセスが失われ、黒字倒産などの「突然死」が増えているとのことだ。
新聞報道されている事例は潟Wョイント・コーポレーション含めて上場会社が中心のものであるが、この事象自体、中堅中小企業にも当てはまるものと実感している。
企業と銀行の関係が希薄化してきた要因として、企業サイドは調達手段の多様化を背景に直接金融の比率を高めていったこと、銀行サイドではリスク管理の観点から貸出形態におけるリスク分散の手法(資産流動化、シンジケートローン等)を広げていったこと、等々が挙げられている。昨年来からの金融危機に伴い金融に関する規制は高まる傾向にあるものの、今後も金融手法は多様化していく中、企業と銀行の関係希薄化は避けられないのだろうか。
筆者としては、いくら金融手法が多様化していくとは言え、中堅中小企業にとって銀行借入は資金調達の柱であり、“避けられる、避けられない”ではなく、もっと積極的に銀行との関係を再構築していただきたいと考える。
企業と銀行の関係も、人間関係と同じで、ベースとなるのは相互の信頼である。銀行の信頼を得るために必要なことは、@経営者が誠実であり事業に強い思いを持っていること、A財務含めた経営に関する情報が正確であること、に尽きる。
上記の銀行の信頼を得るために必要な二つの条件について、もう少し具体的に言えば、
【仕組み】
・経営の改善に向けて具体的経営方針や事業計画を策定しており、予実管理を行っている
・迅速で正確な月次決算制度を構築している
【マインド】
・社長は、自分自身の損得ではなく、会社のために最大限の努力を行っている
・社長は、会社が営んでいる事業が好きであり、会社の社会的存立意義を確信している
・粉飾決算は論外としても、決算操作等正確な経営実態の報告を阻害することはしていない
などである。
企業の努力としては、まずは【仕組み】をしっかりと作ることが大切であり、いくら【マインド】が良くても、銀行が客観的に評価できる材料がなければ信頼は得られない。しかし、【仕組み】ができていても、【マインド】がなければやはり信頼は得られない。更に、中堅中小企業においては、銀行に【マインド】を伝えられるのは、社長だけなのだ。
残念ながら、銀行対応を経理・財務に任せきりにしている社長が結構見受けられるが、論外である。社長は、定例的に銀行に経営方針や経営実態を説明する、支社長や担当者を自社の工場や店舗に案内する、といった努力を行ってほしい。
もろちん、企業と銀行の関係の再構築には、銀行側の努力も必要である。しかし、銀行側の努力を待っていても仕方がない。自分で努力できるところから始めることが大切ではないだろうか。20年間銀行で仕事をしてきた私が自信を持って言えることは、信頼関係が構築できれば、銀行はたいへん頼りになるということだ。
記事提供者:アタックス 平尾 敏也
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立