組織活性化の決め手について
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組織活性化の決め手「メンター制度」
ソニーが女性管理職のキャリア形成を支援するため、「メンター制度」を本格導入したということである。
メンター制度とは、スキルや経験が豊富な人間(メンター)とスキルや経験が浅い人間(メンティ)とを一人ずつペアにして、双方が合意の上で、メンティのスキルの向上だけでなく、キャリア形成、そして人間的な成長までをサポートする制度である。
あまり馴染みのない制度のように思われるが、2007年8月28日の日本経済新聞「働きやすい会社2007」という特集記事によると、主要企業399社中、実に半数近い企業(42.6%)が「導入している」と回答している。かつては自然発生的にあったものであるが、残念ながら人間関係の希薄化が進む最近ではそれが困難なため、今後さらに「メンター制度」を導入する会社が増えてくるであろう。
今回のソニーの事例は女性管理職をメンティとしたものであるが、新入社員や中堅社員を対象とする会社も多い。メンター制度の効果は、直接的にはメンティの成長であるが、もっと大きな効果はメンター自身の成長であろう。そのため、中堅社員をメンターとして任命し、人材育成を経験させることで次世代を担うリーダーの育成に役立てているケースも多い。
また、メンター制度は、人材育成に熱心な会社として社内だけでなく社外にもアピールでき、優秀な人材採用や社員の動機付け効果やリテンション効果も高い。しかも、社員同士が育成し合う制度であるため、かかるコストが低いことから、「究極の人材育成法」と呼ばれることもある。
非正規社員の増加や終身雇用の崩壊が叫ばれて久しいが、その影響もあり、研修やOJTが目先の仕事をこなすためのスキルの伝授に留まり、判断の仕方や考え方を伝授する中長期的な人材育成の視点が欠落している会社が多い。人材の流動化は決して悪いことではないが、人材育成まで超短期的になっては良くない。
また、成果主義の間違えた運用により社員同士がライバル化し、「教えることにより自分の価値が下がる、教えることは余計なことでありコストである」と考える社員が増えてきているのも事実である。
不況で低迷した会社を復活させるためには、全社員が一丸となることが必要である。社員の成長なくして会社の成長はあり得ない。ましてや社員同士が足を引っ張り合う会社に復活などあり得ない。
そのためには会社をもう一度“活きた人の集まり”に戻す必要がある。メンター制度は冷え切った組織風土を活性化させるための有効な施策となるものである。
記事提供者:アタックス 稲垣 謙二
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立