世界同時不況の雇用問題について
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世界同時不況下の雇用問題を考える
日本経済新聞社が本年2月に行った「4,000人ネット調査」において、回答者の約66%がワークシェアリングに賛成したと報じられた。
内訳は、35.5%が緊急避難の措置として賛成であり、30.3%は恒久的な働き方の見直しとして賛成ということだ。人件費削減策として、果たしてワークシェアリングは日本に定着するのだろうか?
雇用は、経営者の最大の社会的責務である。経営者として、社員の雇用は是非とも守りたい。法政大学大学院の坂本光司教授は、世の中の企業を「景気創造型企業」と「景気連動型企業」に分類している。
世界同時不況だろうが何だろうが、自ら景気を創造できる企業は環境変化からの影響を最小限に抑えることができるし、現実にそうなっている。一方、世の中の景気にまともに連動してしまう企業もある。「社員の雇用を守ろうと真剣に考えるなら、常日頃から『景気創造型企業』を目指さなくてはならない」とは坂本教授の弁であり、真にその通りである。
「景気創造型企業」を創るコツは、「人のやらないことをやる」「人を感動させる」「高くても価値のあるものを創る」「特定企業・商品に過度に依存しない」「流行を追わない」「自分の商品は自分で売る」というようなことになる。
ところが、これが難しく、なかなか「免許皆伝」とはいかない。となると、大半の企業は「景気連動型企業」とならざるを得ない。このタイプの企業が倒産を避けようとすると、人件費削減を避けて通る訳にはいかない。
人件費削減策には、人数を減らすリストラと人件費単価を下げるワークシェアリングとがあるが、ワークシェアリングが今日ほど真剣に議論されたことは過去にない。恐らく、リストラしたのでは、社員のモチベーションが高まらないというマイナス面に、多くの人たちが気づいたからではないだろうか。
モチベーションの高い社員が存在して初めて企業は価値を生み出すことができる。リストラは、折角育てた「人財」を切って捨てることになり、企業にとっては大変な損失である。功利的に考えても、これをやらなかったら倒産という最後の最後に使う手段である。
そうかと言って、ワークシェアリングでは、殆どの社員の報酬が下がることとなり、短期的にはいざ知らず、長期的にはどこでも通用する優秀な「人財」を引き留めることはできなくなる。
今回の不況が大方の予想通り長期間続くとすると、「景気連動型企業」はこの問題をどのように解決するのだろうか?今のところ、「これがベスト」という正解はどこにもない。
記事提供者:アタックス 西浦 道明
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立