自社の商品力について
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自社の商品力を見直そう
総合商社の双日が、2年後を目標に現在の在庫額を半減させるという。その狙いは資金繰りの改善を通じて有利子負債を削減することと会計上の減損リスクの回避である、と日本経済新聞は伝えている。
しかし、むしろ本当の狙いは商社としての商品価値や売り方という商売の基本に回帰することにあるように思う。
商品やサービスには旬の時期があり、反対に潮時や寿命もある。良い商品が売れるのではなく、売れる商品が良い商品だとすると、供給側はプロダクトアウトからマーケットインの発想でなければ市場には受け入れられない。商売はお客様のウオンツと同業他社との価格競争によって決まることを考えれば、単に品揃えや物量の豊富さで優劣が決まるのではなく、顧客ニーズに即したタイムリーな販売がその会社の存在価値や利益に繋がるということがわかる。
商社といえば「ラーメンから航空機まで」と揶揄されるくらい取扱商品・サービスが極めて多い点で日本独自の業態といわれる。商品によって金額には大小幅があるものの、販売のタイミングを外すとその損益に大きな影響があるという点では同じであり、在庫に神経を尖らせることは物販業の基本であろう。
商社に限らず、仕入から売上までの時間を短くすることで、資金の流れを早くすると共に保有時間コスト・潜在・顕在金利コスト等の圧縮を図ることは、利益創出の鍵であり、在庫は少ないほうが望ましい。
内閣府は需要と供給の差を示す「需給ギャップ」が1月〜3月で△8.5%であったとの試算を発表した。この数字は年換算で45兆円の需要不足に相当し、このまま続けば物価には下落圧力がかかり、デフレが進行する恐れがある。まさに需要と供給のアンバランスによる不況を証明した形だ。
この状況の中、企業はますます自社商品・サービスの商品力を見直す必要がある。商品力をその販売価額から判断する方法に昔から「半値8掛2割引」という格言がある、最初に売り出した定価が1,000円だとすれば、半値の500円でも売れず、更に8掛けの400円、更に2割引の320円でも売れない、つまり底値を打った時点で他の商品との競争力を失ったと判断する考え方である。
この状況は供給過大による値崩れか、同業他社との比較において商品力が無くなったか、若しくは価格競争に巻き込まれていることが考えられる。
現下の消費不況においてターゲットを見誤った商品は不良在庫となり、即資金調達の足枷になる。慎重に自社の商品力を見極める作業が必要になっている。
記事提供者:アタックス 岡田昌樹
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立