資金繰りは会社の生命線について
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資金繰りは会社の生命線
米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機は米国のみならず、欧州、アジアにも波及し、世界恐慌の様相を呈している。
日本経済は相対的に考えると他国と比べて不況の程度が低いのは事実であるが、 対ドルレートで為替が円高にシフトしていることもあり、ほとんどの輸出型企業が大幅な売上減少となっている。
企業は売上げ減少時に従来と同じだけ製品を作れば在庫が過剰になるため減産せざるを得ない。 減産により工場の操業度が下がれば過剰労働力が生まれ、人員リストラにも手をつけざるを得ない。 こんな状況下でサラリーマンの昨年末のボーナスは前年割れとなり、 財布のひもは固くなり、衣食住すべての内需企業も売上げ減少に見舞われている。売上げ減少は企業収益を圧迫するだけでなく、 資金繰り難にも陥れる。
新聞記事によると、このところ大企業が資金調達を直接金融(資本市場での資金調達)から間接金融(銀行借入)に シフトさせているそうだ。金融市場の混乱が長引き、社債やコマーシャルペーパーの発行難 (つまり資金の調達難)となっているのが原因とあるが、この事態はしばらく続くと見た方がよい。
銀行はBIS基準によって自己資本比率を一定のレベル以上に保たなければならないが、 急激な金融危機による保有株式の評価減や不良債権処理の増加で自己資本が傷んでいる。このため三菱東京UFJ、 三井住友、みずほといった大手行は何千億円単位での資本増強策を計画しているが、その他の銀行は難しい。
昨年12月の国会で成立した金融機能強化法は、中小金融機関への資本注入を拡大することで 自己資本比率を健全な状況に維持し、金融安全網を拡充したものである。
こんな金融環境にあって、大企業が資金調達を間接金融にシフトさせれば、 その分だけ中小企業の資金が大企業に取られることは金融の素人でも気づくことである。
金融機関の立場からすれば「融資してあげたいのは山々だが、ない袖は振れない」のであり、 中小企業への融資は間違いなく厳しくせざるを得ない。中小企業の経営者で「銀行は雨の日に傘を取り上げ、 晴れの日に差し出す」と嘆く人も多いが、銀行は預金者から金を集めて融資しており、 返済するあてのない企業には融資をすることができないのが当たり前であって、この基本は変わらない。
中小企業経営者は結局の所、「自分の城は自分で守る」という覚悟で、この厳しい時代を乗り切るしかないのである。
具体的には、井原西鶴が教えてくれた@「始末」−仕事を総点検し、 無駄なコストは1円でも切りつめる、A「算用」−計数管理を徹底し、採算性を第一に経営に取り組む、 B「才覚」−知恵を働かせ「誰に何をどのようにして売るのか」を戦略的に考えることである。 これらに加えて今の時代は「資金繰りと与信管理」を徹底することを忘れてはいけない
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立