政府の中小企業資金繰り支援策について
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政府の中小企業資金繰り支援策は有効か?
景気の急激な悪化、金融市場の大混乱を背景に、中小企業の資金繰りが厳しさを増しているようだ。 政府も、事態の深刻さを認識し、昨年後半から矢継ぎ早に対策を講じている。
具体的には、「緊急保証制度」6兆円(信用保証協会100%保証)設定(追加的に14兆円〜総額20兆円〜を景気対策予算として検討中)に加え、金融庁による ・中小企業の債務者区分判定基準の緩和 ・銀行の貸し渋り、貸し剥しの監視強化 ・中小企業に対する融資判断の柔軟性指導 などである。更には、銀行が貸出余力を持てるように、政府による資本注入(自己資本増強)も復活させる。
これらの政策は、中小企業の資金繰り改善にどれほどの効果があるのだろうか?「緊急保証制度」は既に4兆円超が利用されており、 筆者の耳にも銀行の融資姿勢が柔軟になったとの話も入ってきている。
この厳しい経済環境の中で懸命に“生き残り”を模索している経営者の皆さんには、 使える手段は全て使うという意味で、政府の支援策の内容は是非熟知いただきたいと思う。 金融庁のホームページには、「金融検査マニュアル(中小企業融資編)」も掲載されており、 この内容を知ることは、銀行との交渉において多少とも役に立つものと考えられ、一読されることをお勧めしたい。
しかしながら、経営者の皆さんには、政府支援だけでは会社の資金繰りの本質的な問題は 解決しないということを十分認識していただきたいと思う。
当然のことながら、借りたお金は返済しなければならず、 銀行も皆さんの会社と同じように私企業なので返済目途のない融資はできないのだ。
今回のような公的な対策が講じられると、「公的資金を入れてもらい政府に助けてもらっている 銀行が企業を支援しないのはけしからん」といった声を聞くことがあるが、それは責任転嫁だと言わざるを得ない。 経営者には借入金はきちんと返済できることを説明する責任があるということを肝に銘じていただきたい。 期日までに返済するという約束をして、借入の契約書に印鑑を押すのは経営者なのだ。
少し厳しいトーンであったかも知れないが、私が最も言いたいことは、 政府をはじめ第三者の支援を頼みにするだけでは この厳しい時代を生き残っていくことはできないということである。 経営者としてやるべきこと、考えるべきことは、事業によって収益・キャッシュフローをしっかりと出すということだ。 もし事業収益・キャッシュフローが出せるのであれば、借入金は自然と返済できるのである。 “しっかりと出せる”まで多少時間が必要なのであれば、銀行にその間支援してくれるよう要請すればいい。
様々な政府の支援策はあくまで“つなぎ”に過ぎず、 本質的には経営者が借入金を返済できるよう事業を立て直すことが大切であり、 それができて初めて貴社にとって政府の支援策が有効となるはずである。
記事提供者:アタックス 平尾 敏也
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立