大きなトレンドについて
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大きなトレンドに目を転じれば
毎年、今頃、次年度の見通しとして発表されるもののひとつに、財務省が発表する「国民負担率」がある。100年に一度の大不況といわれる中ではあるが、今回は視線を足元から大きなトレンドに転じてみたい。
ここで「国民負担率」についておさらいしておこう。「国民負担率」とは租税と社会保障の負担額を国民所得で割った比率であり、租税には国税と地方税が含まれる。さらに、この「国民負担率」に財政赤字分を加味したものが「潜在的国民負担率」とされている。財政赤字は国と地方の財政収支の赤字であり、この財政赤字は国債等を将来の租税で償還されるものであるから、潜在的と表現される。
SNA(国民経済計算)の係数から、S45年度からH21年度(H20年度は実績見込み、H21年は見通し)の20年間のトレンドをみてみよう。
「国民負担率」、「潜在的な国民負担率」ともに20%半ばから47%台へと増加傾向にある。ちなみに、「国民所得」はS45年度の61兆円から、H9年度382兆円をピークに、H21年度は367.7兆円と6倍強に増加している。「国民負担率」が30%を超えたのはS54年度、最高だったのはH19年度の40.0%、一方、「潜在的な国民負担率」が40%を超えたのはS56年度、最高だったのはH11年度の48.9%である。
このときのそれぞれの時代背景はどうだったか。S55年前後は、大平首相の急逝に伴い鈴木首相が後継、レーガン大統領がレーガノミクスを発表し、その後、中曽根首相が誕生した。H11年は小渕首相が誕生し、H19年には安部首相が辞任した。
これらの時代背景が上記のトレンドとどのように相関するかは紙面の都合で割愛するが、係数と時代背景の因果関係に興味をそそられる。
また、国際比較ではどうだろう。
OECD加盟29カ国の最新の実績値(国によって異なるが採用数値は’04年から’07年)によると、国民負担率の高い順から1位はデンマークで70.9%(’06年)、最下位はメキシコで23.1%(’04年)となっている。日本は意外にも40.0%(’07年)で25位、米国は34.7%(’06年)で27位とランクされている。
この「国民負担率」の増減や国際比較が、直接我々の生活実感とはマッチしないかもしれない。だが、「国民負担率」をはじめマクロ係数のピークとボトム、それらの転換点には何が起こったのか、時代背景から読み解くことで次の転換点が見えてこないか。
そういえば、米国の新大統領の就任宣誓式では過去最大の200万の市民が歴史的瞬間を共有したと聞く。そのとき誰もが「変化」を予感しただろうが、事実として変化するのはどのタイミングとなるのか、こうした過去の係数と事実の関連性から推測してみてはいかがだろうか。
なお、「国民負担率」等の係数にご興味のおありの方は、
以下の財務省URLを参照されたい。
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立