雇用調整の前にやることについて
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雇用調整の前にやるべきこと
雇用情勢の悪化が止まらない。
100年に一度と言われる未曾有の不況である。時代はまさに戦時である。平時ではない。企業としても雇用調整(リストラ)に着手せざるを得ない状況になることは致し方ない。
しかし、「手順」は必要である。会社は社員の雇用をできる限り守るという義務がある。雇用調整の前に、ワークシェアリングや賃金調整などをまず検討してもらいたい。安易なリストラは後々遺恨が出る。不況を乗り切り、生き残ったとしても、社員が「簡単に社員を見捨てる会社」という懐疑心を持った状態では良い経営はできない。
不況期には弱い会社は残念ながら淘汰される。つまり景気回復時に生き残っている周りの会社は強い会社ばかりである。そんな中で、社員に懐疑心を持たれているような会社は勝ち残ることはできない。
人件費は、会社の中で一番割合の高い経費である。「売上が減った時には人件費を減らす」これは一番分かりやすい経営手法である。そして人件費を減らすためには、賃金調整(給与を減らす)か雇用調整(人を減らす)の2つの方法しかない。
ともにすぐに結果が出る経営手法ではあるが、前述の通り、安易な行動は経営を弱体化させることにつながる。その前に経営としてやらなければならないことがあるはずである。それは何であろうか。
「ピンチはチャンス」という言葉がある。この不況期が何のチャンスかと言えば、とかく掛け声だけで終わりがちな「全社一致団結」という企業文化を作るチャンスなのである。
この経済危機は、一経営者に責任があるとは言えない、ましてや経営者だけが考えて解決できる問題ではない。つまり“危機感”を全員で共有せよということである。
リストラという単視眼的な議論の前に、全社一丸となって「この厳しい状況を如何に乗り切るか」を徹底して議論して欲しい。そして、その中で決めたことは絶対にやり切るという姿勢も重要である。
今までのように「忙しくてできなかった」が許される状況ではない。この試練を乗り切った社員は強い人財になり、間違いなくこれからの会社をリードしていく良きリーダーになる。つまり、不況期は経営者感覚を持った強い人財を作るチャンスとも言える。
取り敢えず目の前の苦境を乗り切る緊急施策も重要であるが、不況後の会社がヨレヨレになっていては意味がない。不況の後も勝てる会社にするために、強い会社、強い人財作りという視点を忘れずに経営改革に取り組んでもらいたい。
記事提供者:アタックス 稲垣 謙二
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立