広告費・販促費の一律カットについて
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広告費・販促費をなぜ一律カットするのか
電通は、昨年の国内広告費が前年比の95%程度となり、5年ぶりの減少を記録したと発表した。
昨年後半から減少幅が増えていることから、今年の広告費はさらに落ち込むと予想できる。景気悪化が顕著になるにつれ、広告宣伝費や販促費を一律ダウンさせる企業が後を絶たない。経費を削減するうえで交際費や広告宣伝費のカットはわかりやすいし、経営への影響が軽微だという印象があるからだろう。いつの時代も格好のターゲットとなる。
しかし広告媒体を「新聞」や「テレビ」に限定すると、何かと削減されやすいことも事実だ。衝撃的だったのが、リーマンショック以前の昨年8月、原材料価格高騰や北米市場の低迷を機にトヨタ自動車が「新聞やテレビなどのマスメディア向け広告宣伝費を、前期比で30%弱削減する」と発表したことだ。削減要因は収益悪化ではなく、経営資源の効率的な投入という色合いが強いと言われ、広告業界に激震がはしった。
このように「カットしやすい」という理由で宣伝広告費は削られる運命にある。筆者のまわりにも「販促費用一律○%カット」とする企業は多い。しかし、そもそも売上・利益を作るうえで必要な経費なのだから、それを減らせば本業に打撃を与えてしまう懸念は残る。もし打撃は少ないと経営者が判断するのであれば、トヨタ自動車のように景気が低迷する前から経費の見直しをすべきであろう。
つまり景気が悪化してから慌てて広告宣伝費をカットすると表明した企業は、これまで正確な「投資対効果」を測定してこなかったということだ。
それではどのようにすれば広告費・販促費の「投資対効果」を正しく測定できるだろうか?
答えは、広告や販促を企画する際に、その都度、1)目的の明確化 2)仮説の立案 3)過去データの分析 4)広告媒体と手法の決定 5)実行……という手順でPDCAサイクルをまわすことである。
よく聞くのは、明確な目的もなく「昔からやっているから」「広告代理店に勧められたから」という理由でルーチン的に広告を出すケースである。広告を出すことが慣例になってしまい、効果測定を疎かにしていれば「一律カット」と言われても反論はできまい。
さらに重要なことは現場の存在である。「BtoB」の企業は特に「営業を動かす」ということに焦点をあててほしい。どんなに素晴らしいプロモーション活動をしたとしても、営業との連携が甘ければ結果は出にくい。記事には、ネット広告のみが手堅く増加していると記されているが、営業は昔からお付き合いのある大事なお客様、そして顔の見える相手を大事にしたがるものだ。ネットから問い合わせてきたお客様のフォローに力を入れない営業は多く、せっかくのお客様を逃しているケースが少なくない。これは見過ごせない問題である。広告の企画部署のみならず、営業の活動も含めてモニタリングすることが求められている。
このように、どのぐらいの宣伝費用をかければどのぐらいの効果があるのかを、ある程度は測定できるようにしておかないと企業はコストカットに走りすぎてしまう。業績を維持安定させるために必要な経費まで削減されれば、業績を回復させる体力さえもカットしてしまう可能性があり、危険だ。
記事提供者:アタックス 横山 信弘
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立