H21の改正について
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平成21年度税制改正の行方
8月下旬から9月中旬にかけて、各省庁から「平成21年度税制改正要望」が公表され、又経団連等の各経済団体からは税制改正に関する要望・提言が発表された。これらの要望・提言などから法人税、所得税、相続税の改正要望のポイント(創設・拡充・延長)を探ってみたい。
本年末に期限切れとなる「住宅ローン減税」については、国土交通省から制度の延長、拡充が要望と出され、紙面にあるとおり、景気対策の一環として政府・与党は大幅に拡充する検討に入った。また長期優良住宅や一定の省エネ住宅については、通常の住宅より優遇した控除を適用することも要望している。
土地税制では、これも本年度末に期限切れとなる「特定の事業用資産の買換特例」の延長を国土交通省、経済産業省ともに要望している。
金融庁からは、「貯蓄から投資へ」の流れの促進の観点から証券税制の見直しが要望されている。ひとつには、「小口の継続的長期投資非課税制度」(日本版ISA)であり、これは10年間にわたり毎年一定額までの上場株式等の配当を非課税とするものである。この他、高齢者の安心のための「第二の年金」の税制優遇措置として、高齢者が受け取る上場株式等の100万円以下の配当及び500万円以下の譲渡益について非課税とする「高齢者非課税制度」を要望している。
経済産業省からは、海外子会社利益の国内還流の障害を取り除く国際租税改革として、海外子会社からの配当について、現状の「外国税額控除制度」を、OECD加盟国30ヶ国のうち21ヶ国が採用している「国外所得免除方式」に変更することを求めている。
ところで、平成21年度の改正で最も重要なものは、「中小企業における経営の円滑化に関する法律」の制定(本年5月成立。本年10月1日施行)を踏まえた、相続税の改正であろう。「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」の創設が予定されており、かつ相続課税方法が、現在の「法定相続分課税方式」から「遺産取得課税方式」へ50年ぶりに変更される予定である。この課税方法の変更により配偶者の税額軽減制度、小規模宅地等の特例、相続税の基礎控除額、生命保険金・退職金の非課税制度等が抜本的に見直されることが考えられる。さらに贈与税の基礎控除額は、相続税の抜本的な見直しがされるまでの臨時的な措置であるため、現在の110万円(措置法70の2)から本則の60万円(相法21の5)に引き下げられる可能性がある。
このように、住宅ローン減税だけでなく、様々な税制改正が議論されており、結論によっては会社経営や生活に大きく影響するものもある。今後とも議論の行方を見守りたいものである
記事提供者:アタックス 春田 恭輔
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立