公開企業と経営者の資本
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公開企業の経営者が直面する資本の論理
いよいよその時が来たようだ。オーナー一族ではない株主、中でも特に外国人株主によって、現経営者が、再任されないということになった。そもそもの発端は、2008年2月にアデランスの筆頭株主であったスティール・パートナーズが現経営陣に「業績評価と提言」という書簡を送ったところから始まった。その書簡では、現経営陣が会社の企業価値を毀損している状況として、(この書簡はスティール・パートナーズのHP上で公開されている。http://www.spjsf.jp/ )
1)コア市場における戦略の失敗、
2)非効率的なマーケティング戦略、
3)コスト管理の失敗、
4)説明責任・透明性の欠如、
5)現経営陣の経営能力の欠如及び同社における経営資源の欠如、
の5つをあげ、30ページ超の資料の中で自説を展開している。加えて、同社は別の書簡で「我々は、貴社が危機的な状況にあると考えており、もはや貴社経営陣の皆様に効率的な経営を行う能力があると信じることができません。〜省略〜 具体的には岡本社長及び現経営陣の皆様より貴社の主導権を譲り受けるべき経営陣を探すべきだと考えております。これが、岡本社長の指揮の下、貴社がさらなる損失を被ることを防ぐ、唯一の方策ではないかと考えます。」と明言している。
激しい委任状争奪戦後2008年5月に開催された株主総会では、取締役9名のうち2名が可決され、社長を含めた7名は、賛成少数で否決される事態に至った。さらに、本件の根深い点は、スティール・パートナーズのような過激なファンドだけでなく、投資先に対して友好的なファンドも反対票に回ったということである。やはり、いかなる投資家も投資先に対してその戦略・資金活用の透明性を求め、かつ投資にみあったリターンを求めるという基本的な考えを、我々は再認識すべきである。投資を受けた経営陣は、常に利益追求・資金の有効活用を求められる。それが、プロ経営者の宿命といわれればそれまで。一方で、会社経営においては、中長期的な視点で事業を育成していくことも継続企業となるためには必要である。短期的な利益を優先し、長期的な企業利益を損なっていいというものではない。公開企業の経営者は、今後、短期的な経営と長期的な経営をいかにバランスをとり、いかに株主に説明していくかがより重要となってくる。今後、株式上場を予定している経営者はこの点を覚悟して、上場に臨むべきである。
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立