働き手が不足時代の経営
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働き手が不足する時代の経営を考える
厚生労働省が最近まとめた推計による と日本の2030年の労働人口
(15歳以上の就業者と求職者)は、現在の6,657万 人から1,070万人も減ることになる。現在日本の人口は1億2,700万人である が、2030年には1億1,700万人になり、ちょうど1千万人減少すると予測され ている。1,000万人の人口減少がイコール労働力人口の減少となる。
2030年に向けて、働き手が不足する時代が間違いなくやってくる。今でも中小企業は大企業が新卒の求人を拡大している中で雇用の確保に大変苦労しているが、今後はさらにこの状況が深刻化する ことになる。
ところで、労働力不足に対応する方法は次の4点に 集約される。
1)高齢者の活用 : 最近は多くの大手企業が定年を 60歳から65歳へ延長している。
中小企業にあっては働く意欲のある高齢者には、自社のみならず大手企業の退職者も含め65歳以上でも働いてもらえる環境と仕組みを考えることである。生物的な意味でいうと本当の老人は75歳からであり、この年齢までは働いた方がはるかに健康を維持できるのではない だろうか。
(2)女性の活用 : 女性の活用についても優良な大手企 業では出産を機に退職する女性社員を引き留めるために育児休暇制度、子育 て支援制度などが導入され始めている。
中小企業では大手企業並みの制度を 導入することは難しいかもしれないが、在宅勤務や短時間勤務などで家庭と 仕事を両立させたい女性のための就労制度を用意することは可能である。最 近はインターネットの普及により在宅勤務が容易となっている。出産、育児 期間中はインターネットを使って在宅勤務をしてもらい、子供に手がかから なくなった時点で職場に復帰してもらうことが可能な時代である。
(3)外国人の活用 : 労働力不足対策と して外国人を大量に受け入れることは、かつてドイツが失敗しており、日本政府もきわめて慎重である。しかし、外国人の受け入れはいずれ本格化する 。実際の所、当社の顧問先でも製造業では多くの外国人が製造現場で働 いている。今後は単純労働だけではなく、技術職、研究職の分野にも外国人を受け入れることが現実になると予測される。日本政府も優秀な外国人が日本で働くインフラを整えなければ世界の一流国に残れないと考えており、グ ローバルな視点に立った人材獲得は国家戦略である。
(4)合理化・省力化投資 : すでに日本は産業 用分野では生産性向上のための合理化・省力化投資が進んでおり、世界一の ロボット大国でもある。今後は産業用にとどまらず、介護、医療など様々な 分野で人間の手足の動きを助けるロボットが登場するであろう。当社の顧問 先でも、大学の医学部教授が医工連携で手術ロボットの開発を進めている。
以上、働き手が不足する時代に対応する対策案を紹介したが、こ こで経営者が忘れてはならないことは、労働生産性を向上させることである 。トヨタ流の継続的な改善活動を行い、仕事のムダ・ムラ・ムリを取り除く 、あるいは教育・研修制度を充実させて社員のスキルアップをはかるなど労 働生産性の向上策には終わりがない。
人口構造全体の変化が社会 に与える影響はきわめて大きいが、その将来予測は比較的容易である。中堅 中小企業の経営者は、こうしたことを踏まえて、労働力不足に限らず、長期 的観点で人口構造変化を考えて、自社の経営戦略を再検討してみてはいかが であろうか。
記事提供者:アタックス 丸山 弘昭
千代田区神田の税理士佐藤修治税務会計事務所 会社設立